ながし読み日誌

文庫で読書。最近はハードボイルドに傾倒気味です。。
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2010.04.07 Wednesday | posted by スポンサードリンク
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緋友禅―旗師・冬狐堂/北森鴻

評価:
北森 鴻
文藝春秋
(2003-01)
陶子&硝子の冒険
期待を裏切らない冬狐堂シリーズ
冬狐堂シリーズ第三弾
古書店で「瑠璃の契り」を見つけて、未読の冬狐堂シリーズだ!と諸手をあげて喜び半分くらい読んでから、実は前作があったことが判明。シリーズの順番を間違えて読んでしまうなんて何という失態!急いで買ったものの読む気がなくなり、ずっと放っておいて忘れていました。先日、積読本の山から発見して自分でびっくり。お気に入りシリーズを放っておいたなんて、またしても失態。忘れていた時間が今となっては口惜しい。とにかくこれは本当に面白かった!勢いで★5つにしてしまったけれど、震えが来るような神憑った作品というわけではなくて、期待や予想をはるかに超えた面白さだったから★5です。

短編集ではありますが、収録されているのは「陶鬼」「永久笑み」「緋友禅」「奇縁円空」の四篇。これまで冬狐堂シリーズは講談社で出ていたが、なぜ今回は文春なのだ。
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2008.09.24 Wednesday 20:24 | posted by ソラチ
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親不孝通りディテクティブ/北森鴻

評価:
北森 鴻
講談社
¥ 620
(2006-08-12)
ダイエー優勝の年の思い出
博多の闇
続編はあるのかな?
タイトルは、本当に失礼ですが、ひと昔前のTVドラマのようで、なかなか読む気になれなかったのですが、読んでみてびっくり。本当に面白い作品でした。

東京から福岡へ戻ってきて屋台の親父に収まったテッキと、結婚相談所の調査員・キュータの二人が、常連客が持ち込んでくるささやかな事件からとんでもない事件まで解決する短編連作集。

女性が大好きで惚れっぽいキュータと、冷静沈着で頭脳派のテッキ。対照的なコンビが魅力的。キュータが独自に事件を捜査し至った答えは実は違っていて、とっくにテッキがたどり着いていた。しかしその答えには、公言できないような切ない事情があって、多くを語らない・・みたいな。ハードボイルドですよ!!

どの物語も素敵で、格好良いのですが、北森鴻らしい結末に少し残念な感じと寂寥感が。。この作家さん、主人公たちの人生を思いっきり揺るがすような設定を平気でしてきますね。たとえば冬弧堂シリーズもそうですし、かの民俗学者もいつまであの大学に籍を置けるのか今から不安でしょうがない。残念な気もするけれど、そこが良いというファンもいるんでしょう。私は王道で大団円が好きなので、ちょっと寂しい気がします。もっと彼らの活躍を読みたいのに。まあ、他シリーズのどこかにまたテッキやキュータが登場しそうな気もするので、楽しみに待つのみ。

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2008.08.20 Wednesday 17:58 | posted by ソラチ
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写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉/北森鴻

評価:
北森 鴻
新潮社
¥ 500
(2008-01-29)
写楽という虚像
人気シリーズ第三作
狐目の活躍
民俗学者・蓮丈那智シリーズ第三弾。3作目にもなると"マレビト"という専門用語すらなじみ深いものになるのだと気づいた今作。4編からなる短編集です。

助手・内藤の写真が学生の間で御守り代わりにされている、そんな他愛のないエピソードから始まる第一話「憑代忌」。フィールドワーク先で出くわす殺人事件と内藤の御守り事件に共通点が。。どちらかといえば本編の事件より、内藤三國のもずのはやにえ事件の方が面白い。

第二話「湖底祀」は、湖底に神社の跡がある!説を唱えた在野の学者と蓮丈那智のバトルです。着目すべきは、“鳥居”について論じられていること。鳥居の起源が不明とされていますが、ここでその起源・役割について触れてきたのがちょっとびっくりでした。まあ、鳥居については目から鱗のような説ではありませんでしたが、湖の中に沈んでいるものについての蓮丈那智の推論は面白い。第三話「棄神祭」では、教務部の彼と蓮丈那智が学生時代に遭遇した事件が焼き直されるような事件に遭遇するお話。舞台は旧家に伝わる奇妙な祭祀は、映像作品として見てみたい。タイトルの「棄神祭」というテーマがおもしろいです。

そして表題作「写楽・考」、別シリーズで常々思っていましたが、北森鴻という作家はよほどマンネリを嫌うのか、それとも危機的状況からの脱却・反撃が好きなのか。最終話はボリュームもピンチ度もかつてなくらいの作品でした。業界誌に載った業界を揺るがすような論文、文体は蓮丈那智に似ているが蓮丈那智ではない。そんな時、論文の作者と同名の人物が行方不明となり、さらにその人物ゆかりの骨董商が殺害され、蓮丈那智に容疑がかかる。この作品で初めて教務部の彼の名前が明かされます。失踪した蓮丈那智を捜し、容疑を晴らすために奔走するのは内藤と同じく助手の佐江由美子、そして教務部の彼です。さらに冬狐堂も特別参加。大々的なミステリ活劇で、かつオチも大変魅力的なものでした。中篇くらいのボリュームでしたが、単品でもいけたような。エンタメ要素抜群でおもしろい。

レギュラー陣が揃ってきたところで、蓮丈那智シリーズしばらく書かれないんじゃないかという余計な心配だったり、「写楽・考」のピンチ度を考えると、今後の作品はもっともっとピンチになるんじゃないかという不安がよぎりますが、人死にがないミステリで十分なので、長く続いてほしいシリーズです。

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2008.04.14 Monday 11:41 | posted by ソラチ
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花の下にて春死なむ/北森鴻

評価:
北森 鴻
講談社
¥ 560
(2001-12)
香菜里屋に行きたい
「香菜里屋」シリーズ第一弾
グビグビ読ませる
実は1/14に読了。記憶も危うくなってきましたが、どこまで読後感を思い出せるか・・。

他シリーズで時々登場していた三軒茶屋のビアバー「香菜里屋」、今回はビアバーを舞台に展開されるしっとり落ち着いたミステリー。第52回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門受賞作です。

作品は、6篇の作品からなりますが、どれも共通しているのが、ビアバーでミステリが語られる分、じわじわと感動を味わえる深みだったり、落ち着きだったりが見所でしょうか。冬狐堂のような派手なアクションやバトルはなく、静かにドラマが語られます。

表題作「花の下にて春死なむ」は、孤独なままに亡くなった俳人・片岡草魚の人生を追うもの。最終話の「魚の交わり」も同じ片岡草魚に関するミステリ。もちろんフィクションのキャラクターではありますが、句も彼の人生も、ビアバーで静かに語りたい!というイメージにぴったりでした。

「花の下にて春死なむ」で紹介された句も私のような素人目には魅力的に映るのですが、それ以上に好みだたのが「終の棲み家」という作品。水際にひっそり佇む小屋とそこに住む老夫婦。明らかに違法に建てられ住んでいるのだが、その夫婦とカメラマンとのコミュニケーションが、短いけれど濃い交わりで、長くても疎遠の付き合いが多くなってきた私には新鮮で羨ましいものでした。こういう出会いがしたい、と思えるような作品。

普段であればこの短編集のような、静かで落ち着いた雰囲気の作品は敬遠しがちなんですが、さすがは北森鴻。飽きる暇もなく読めました。おおかた北森作品のシリーズものは読んだきがするので、今度はシリーズ外作品にでも挑戦してみたいです。

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2008.01.28 Monday 10:24 | posted by ソラチ
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触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2〉/北森鴻

評価:
北森 鴻
新潮社
¥ 500
(2005-07)
ここから読み始めた
人間性に深みが・・・?
大学と犯罪
久々のレビューは異端の民俗学者・蓮丈那智のシリーズ第二段です。第一弾は10月末に読了しましたが、ブログに書いてないやー。きっともう思い出せない・・。冷淡で美しく聡明な女性・蓮丈那智と助手の内藤君のフィールドワークから謎が展開する民俗学ミステリですが、スタイルとしては探偵と探偵助手で物語が進む古典的なもの。

今回は、山奥にある五百羅漢の謎「秘供養」、新興宗教のサークルと全面衝突?「大黒闇」、消息不明の蓮丈那智から謎のメールが来た「死満瓊」、今時なぜか新たに発見された即身仏の調査に向かう「触身仏」、内藤君の論文を巡るあれこれ「御蔭講」の5話からなる短編集。

今回の作品では何といっても“狐目の教務部担当者”です。幸か不幸か蓮丈那智が不在となってしまうシーンが多く、助手の内藤君を助けるポジションとして度々登場するわけですが、実は凄い人だったんです的な設定も、その事情が詳しく語られないのも謎を秘めたままでいい。狐目が出張れば出張るほど内藤君がその分オイシイ部分を削られるわけですが、探偵助手の本分はあくまでもワカラナイと悩む点とストーリーテイラーであることなのでポジションはかぶらないし、問題なし。

前作同様、今回も民俗学に精通していなくても十分興味をくすぐられるような謎、テーマがメインでした。民俗学的に言うとどうなんだという指摘も聞いたことがあるんですが、小説だし、面白く演出しているならそれは素直に楽しんだ方が得です。今回は蓮丈那智が襲われたり、大怪我したり、行方不明になったり、容疑者になったりと大忙しでした。マンネリを嫌っての作者の配慮かもしれませんが、ここまで大変な目に遭っていると、彼女が民俗学者のままでいられるのか余計な心配をしたくなります。冬狐堂の宇佐見陶子のように、大変な目に遭うのではないかと。確かにマンネリ感はないですが、純粋にフィールドワークの過程で遭遇する不思議な事件で満足なんですが。

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2007.12.16 Sunday 09:45 | posted by ソラチ
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闇色のソプラノ/北森鴻

評価:
北森 鴻
立風書房
---
(1998-09)
のんびりと読みたい1冊
文庫で読んだんですが、↑amazonで画像がないのでハードカバー版で。シリーズものではない長編でしたが、予想以上に緻密なミステリでした。

夭折した童謡詩人・樹来たか子を卒論テーマとした女子大生、彼女に出会いその詩人に出会った郷土史家、末期癌に冒された男、彼女の恋人の刑事。樹来たか子の人生を追ううちに連続して人が亡くなり事件が発生する。

ひとりの詩人に魅せられた人々の抱える事情も勿論、それ以上に童謡詩人の死の謎、その子供が聞いた音の謎が非常に魅力的。詩の中で登場する「しゃぼろん、しゃぼろん」と表現された音は何の音なのか。解説によると、樹来たか子のモデルは金子みすゞのよう。確かに共通点は多いものの、金子みすゞの作品をそれほど知らないので、この機に触れてみたいと思いました。音の正体についても馴染みのないものなので、一度は聞いてみたい音です。

さらに、ミステリ部分についても周到で緻密。決して幸せな話ではなかったものの、その結末は衝撃的でした。結末を知るともう一度最初から読み直したくなるような・・。また、作品内に登場した詩も素敵なものだったので、この作家の新たな部分を知ったような感じで、さらにファンになりました。これは、私的ですけど作家オブ・ザ・イヤーですよ。解説の中で、種田山頭火をモデルにした作品もあると知りまして、それを読むのもまた楽しみです。
2007.11.22 Thursday 17:56 | posted by ソラチ
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狐闇/北森鴻

評価:
北森 鴻
講談社
¥ 800
(2005-05)
ゼロ時間へ
裏切りの世界
文句無し!!
いやー、このシリーズ本当に面白いです。と言うよりも物凄く好みなのかもしれない。店舗を持たない古物商・旗師の冬狐堂シリーズ第二弾(なのかな?)。前回あれだけ酷い目に遭っているのに今回はさらに輪をかけて大変なことになっていました。

ある市で競り落とした青銅鏡。市に参加していた男の死を皮切りに陶子の周囲で鏡に関わる人間が亡くなり、さらに絵画の贋作の汚名を着せられ鑑札を剥奪される。自分に何が起きているのか、誰が自分を陥れようとしているのか。他のシリーズの登場人物も交えて見えない敵へ立ち向かう歴史ミステリー。

鑑札取り上げられてはもう骨董屋はできない。そこまで追い詰められて物語は始まります。そんなどん底からかよ!!とびっくりですが、今回は「孔雀狂想曲」で登場した雅蘭堂の越名に、絶対どこかでシリーズ張ってるんだろうと思われるクールな女性民俗学者・蓮丈那智(←名前からもうあからさまに主人公だ・・)、雅蘭堂の知人で古代技術研究家の滝、そして友人でカメラマンの横尾硝子の5人がチームで鏡の謎、正体がわからない敵に立ち向かうわけで。そりゃ面白いさ、探偵役が二人も三人もいれば。雅蘭堂は色々察しててもあまり余計な口出ししないタイプの一歩引いたカンジの探偵に対し、陶子と民俗学者はハードで好戦的なクール・ビューティー。これは民俗学者のシリーズも読まねばなるまい。

物語の序盤はこれでもかとばかりに追い詰められ陥れられ何もかも失い地に落ちた主人公。そこから反撃を始めるのがまた痛快。そして物語終盤に入るまでなかなか姿が見えない敵。だれが何のために一介の旗師を陥れるのか、そこが最大のミステリーなのです。ラストも、前回のようなアクションではなく、敵と対峙して切り札を出し合うような手に汗握る頭脳バトルだったことも嬉しい。

物語の核となるのは、明治期に県令をしていた税所篤という人物が遺したとされる禁断の税所コレクション。彼の人物を掘り下げる事で浮かび上がる真相はあまりにもスケールが大きく、当然その方面には無知なので真偽のほどはわからない。それでも楽しく読めたのは、テンポ良く展開するストーリーと、犯人の動機・目的がままあるような現実的な事だったせいか。

女性が主人公であると言う事とサスペンス性が高いので、何となく検屍官シリーズのケイ・スカーペッタを連想しながら読んでいましたが、今回ちらちら出てきた民俗学者よりは陶子の方が感情的で、本物に触れた時に揺れ動く脆い心を持っていてそのあたりも魅力的です。民俗学者の方は作品を読まなければなんともいえないが、陶子と同じ行動力抜群の探偵っぽいので楽しみです。冬狐堂シリーズは長編で読みたいけれど、これ以上シリーズが続くと彼女はどうなってしまうんだろうという危惧もあり。とりあえず文春から短編集が出てるらしいので、それは明日にでも買いに行きますか。
2007.10.26 Friday 00:58 | posted by ソラチ
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共犯マジック/北森鴻

評価:
北森 鴻
徳間書店
---
(2001-07)
緻密で仄暗いミステリ。
↓前の記事で予告どおり精力的に北森鴻を読書です。amazonでは文庫版の表紙画像がないので↑はハードカバーの表紙。当然読んだのは徳間文庫です。文庫の表紙も同じデザインでした。今回は推薦していただいた方絶賛の「共犯マジック」、本格でした。やっぱりミステリって本格っていいですわ。楽しい、面白い。ただ、とても信頼しているサイトさんの書評では、この作家で一番良い作品というわけではない様子。それでも最近、これくらいストレートな本格を読んでいない気がして、嬉しかったんですが。

不幸を予言する“フォーチュン・ブック”、占いの結果を憂い自殺者まで出し、社会現象となった占い本を購入した人々の物語。短編連作だけれども全ての物語がひとつに繋がっていく長編小説を読んでいるよう。

まず、プロローグ。出版社の自主回収により入手が困難になったフォーチュン・ブック。地方の書店で在庫の6冊が様々な人々へ売られてゆく。残り6冊を買った人々がこれから主役となり、すべてはここから始まるのです。作品の中でフォーチュンブックのくだりが出てくるたびにプロローグを見直す事になろうとは・・。

第一話「原点」 学生運動が盛り上がり、警察機関と学生との衝突も始まった時代。学生運動に参加しないノンポリ学生が集まる喫茶店で出会った5人の男女。そのうち一人が自殺する。彼はなぜ死んだのか。
第二話「それからの貌」 日航機逆噴射墜落事件が原因で現場を外された新聞記者。彼のもとにホテル火災で亡くなった一人の女性の謎が持ち込まれる。
第三話「羽化の季節」 通りがかりの画廊で買った一枚のスケッチ。その絵画の前で動揺し泣き崩れる老人。老人が語る過去はフォーチュンブックに関わった人間の事件だった。
第四話「封印迷宮」 都心のベッドハウスで出会った“サクラダ”という異相の男から持ち込まれたのは企業の恐喝だった。金ではない彼の目的は何なのか。
第五話「さよなら神様」 車両爆破事件の犯人に対して死刑が執行された、そんなニュースを見て涙を流す女性の持つ秘密とは。
第六話「六人の謡える乙子」 彫刻家の墓所から発見された5体の像。その像に隠された謎を弟子が追う。
最終話「共犯マジック」 第四話で登場した“サクラダ”が捜す人間、そして彼らの過去は?全ての物語がここへ繋がる。

共通して言えるのは時代背景が古く、昭和の犯罪史に残るような大事件をネタに扱ったこと。しかし時代の古さは合っても物語の古さは感じない。また、どの作品も事件へのアクセス、視点が非常に面白い。特に「六人の謡える乙子」、「羽化の季節」がスタイルとしては好き。ミステリとしてもストレートな本格で、現実の犯人、真相は違ったとしても、たとえ作り物だとわかっていても、物語として楽しめるレベルで提供された数々の事件は面白い。例えばグリコ・森永事件だったり、ホテル火災だったり、3億円事件だったり、学生闘争等、今では犯罪史の特別番組でしか聞く事のないような大昔の事件が新たな解釈、新たな局面で見る事ができるのです。穿った味方をせずに肯定的に読むと本当に楽しめるかと。また、最終話で様々な謎が氷解する仕組みになっているのもミステリとしてまあ当然なのかもしれないですが嬉しいじゃないですか。フォーチュン・ブックを手に取った人々が辿った人生はやはり不幸なものだけれど、複雑に絡み合い、しかししっかり繋がっている様は素直に面白い。
2007.10.17 Wednesday 14:05 | posted by ソラチ
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狐罠/北森鴻

評価:
北森 鴻
講談社
¥ 780
(2000-05)
珠玉ぞろいの短編の前段階としてどうぞ
裏返し
だましあい
近所の書店のコピーが「この本でハマった!!」、本当にハマりました。そこの書店のオススメ本はイマイチだったりするんですが、この作品に限ってはめっちゃ面白い。久々に作家にハマりました。これから北森鴻読むぞー!!という決意の表れとしてブログの“北森鴻”のカテゴリを作ってみました。読むぞー。

店を持たずに骨董を商う「旗師」宇佐美陶子は、同業者から贋作を掴まされる。それはプロを騙す「目利き殺し」という業だった。陶子は意趣返しにと目利き殺しを返すための罠を計画するが、やがて殺人事件へと巻き込まれる。

何が好きかって、ひとりで地に足をつけて闘う女性骨董商の姿がハードボイルドなのです。刑事や探偵だけじゃなくとも、骨董というあまり馴染みのない世界にもこれほどのハードボイルドが存在するのかという驚きと喜び。また、贋作モノというネタも勿論、罠を仕掛けるドキドキ度、騙し合い、駆け引き、もちろん最後にやってくる大ピンチ、アクション。どれをとっても満足なのです。骨董の世界をキソから説明されながら、飽きずにスピード読書ができるなんて、それだけで作者の力量がわかるというもの。

また、登場人物も魅力的。ハードボイルドを地で行く女旗師・陶子はもちろん、研究者であり協力者のプロフェッサーD、謎の保険屋、その世界で大きな力を持つ橘薫堂、大変な技を持つ潮見老人、友人のカメラマンなど登場人物ひとりひとりも個性的。

この作品はシリーズらしいのですが、これだけ大きな事件を経て、これからどういう方向に進むのかとても関心があります。同じ骨董屋の話「孔雀狂想曲」も時に温かく素敵な話でしたが、こちらのシリーズはよりハードな感じですね。短編ではなく長編で読みたい作品です。ちなみに現在読んでいる「共犯マジック」も、骨董とは関係ないけれどかなり面白いミステリ。ただ、これまでに読んだ作品では北森鴻の底力がどれほどのものなのか測れないので、しばらく北森鴻を読み続けたいです。
2007.10.12 Friday 19:13 | posted by ソラチ
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孔雀狂想曲/北森鴻

評価:
北森 鴻
集英社
¥ 540
(2005-01)
キャラ設定が絶妙。
ぜひ続編を!
骨董詐欺
これは予想以上に面白かった。例えば、北村薫の円紫さんと私シリーズを初めて読んだ時のようなハマりっぷり。買ってよかった、集英社ナツイチで紹介されていた一冊。

主人公は骨董屋「雅蘭堂」の店主。少女が万引きしようとしたZIPPOにはある思い出、記憶、謎が隠されていた「ベトナム ジッポー・1967」、大量のジャンクカメラにまつわる事件「ジャンクカメラ・キッズ」、競りで登場した古九谷焼は本物かニセモノか「古九谷焼幻化」、女性実業家であった叔母が遺したガラス細工に込められた意味は?「キリコ・キリコ」、幻の絵画を追う「幻・風景」、根付け職人の挑戦「根付け供養」、競り市で落としそびれたビスク・ドールが大きな事件へ発展する「人形転生」の全8話。短編連作です。

最初の話が少しだけ重いので、どうだろうとは思っていましたが、尻上がりに面白くなってゆくカンジ。骨董屋が主人公でこれほどまでバラエティに富んだ作品ができるのかと感じました。最近読んだ稲見一良「猟犬探偵」シリーズのような、猟犬探偵というジャンルでどれだけ楽しませて貰えるのか、普段あまり身近ではない職業、世界に魅せられる、実に楽しい読書でした。

特に気に入った作品としては「根付け供養」。贋作作家の挑戦なんですが、彼の心情、挑戦は勿論、好事家の粋な計らい、骨董屋のポジションどれも良かった。古さだったり時代に関係なく良いものは良いのだ。芸術作品または職人の手による作品に対しての敬意だったり、古いものにこそ価値があるという相場の流れだったり価値基準に釘を差すような話。文句なしに素敵でした。

また、アルバイトの女の子、商売敵、商売仲間など魅力的なキャラクターも多くいて、ぜひぜひ続編が読みたい!!読了後にそんな強い衝動に駆られて読んだ解説も素晴らしいものでした。何がすばらしいかって北森鴻の作品にはどういうシリーズがあり、各シリーズの簡単な説明や、他のシリーズに他のシリーズのキャラクターが登場しているなどの情報も書かれていて、今まさに北森鴻のファンとなった私にとっては一番欲しい情報が書かれていました。くそう。嬉しい。ただ、この“雅蘭堂シリーズ”はまだこの一冊のみらしい。けれど別シリーズにも登場しているなら別シリーズも読むしかないでしょう。
2007.08.20 Monday 08:55 | posted by ソラチ
・ 北森鴻 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)
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