ながし読み日誌

文庫で読書。最近はハードボイルドに傾倒気味です。。
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2010.04.07 Wednesday | posted by スポンサードリンク
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愚者と愚者 (上) 野蛮な飢えた神々の叛乱/打海文三

評価:
打海 文三
角川グループパブリッシング
¥ 620
(2008-06-25)

「裸者と裸者」の続編。今回も上下巻に分かれており、上巻は海人、下巻は椿子の視点から、戦争のある世界を舞台に生きる人々を描く。上巻・下巻別モノとしてまずは上巻から。

常陸軍で大佐となった海人のもとに“黒い旅団”と呼ばれる組織から親書が届けられた。内容は、孤児部隊単独の同盟、つまり常陸軍からの離反を促すものだった。常陸軍の占領下にある九竜シティで公平な選挙を行う、その目的のために奔走する海人だが、様々な組織や人の思惑、思想が邪魔をして、気がつくとパンプキン・ガールズと軍を構える事になる。
国として立ち行かなくなった仮想日本。そこでは様々な思想を掲げた組織があり、それを統一する事はやはり困難である。同じ目的があった場合に同盟を組む事はあっても、思想を統一する事ができない。そんな中で地方選挙が可能なのか。この作品の中には実に様々な思想を掲げた集団が登場する。どのような差別も許さない常陸軍、秩序を破壊する事を目的とした少女のマフィア“パンプキン・ガールズ”、ゲイ・ヒロイズムを掲げる“黒い旅団”、日本人男性至上主義“我らの祖国”、性的マイノリティの武装勢力“虹の旗”など、どれも何かを尊重するために、別の何かを虐げるような要素があって、現在社会に多くある組織と何ら変わりはないと感じた。違いは戦闘の有無くらいだ。無政府状態である作品内の世界でどういう勢力が支持を得て国を造ってゆくのか見届けたいが、それはもう叶わない夢だ。

物語で目を引くのは選挙が実現するかどうかではなく、海人の周囲に好意を持って現われる幾人かの人たちや、その目的。そして最大のポイントは海人と共に戦ってきた仲間の話だろう。ファン・ヴァレンティンに「友だちと孤児部隊のことをほめられるなんて、そんなうれしいことはないよ」そう語る海人が印象的。また、ある女子大生のセリフ「自分の信念を人に語ると、なにかの罪になるの?」に、行き場のない怒りが。意図の有無に関わらず、語った言葉によって人が死に、その死に対して大きな悲しみを持つ人物の前でそういうセリフを吐きますか。メディアの論理と全く同じで無責任極まりないけれど、作者が何を見て何を思いこの作品を書いたのか、戦時に強く生きる少年・少女を描いたこの作品でどういう結末を用意していたのか、気になってしょうがない。著者の急逝が本当に惜しまれる。

JUGEMテーマ:Book review
2009.07.14 Tuesday 19:11 | posted by ソラチ
・ 打海文三 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

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2010.04.07 Wednesday 19:11 | posted by スポンサードリンク
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