ながし読み日誌

文庫で読書。最近はハードボイルドに傾倒気味です。。
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2010.04.07 Wednesday | posted by スポンサードリンク
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ユージニア/恩田陸

評価:
恩田 陸
角川グループパブリッシング
¥ 660
(2008-08-25)
面白いが・・
気分が重くなる・・・。
余韻
「ねえ、あなたも最初に会った時に、犯人って分かるの?」そんな紹介文があったら読むしかないでしょう。名家で起きた大量毒殺事件が数十年経ってようやく解き明かされてゆく物語ですが、劇的でアクティブなミステリではないのにまず驚きました。若い探偵が過去の大事件に挑むようなよくあるスタイルだと思っていたのに、全くちがったよ。

事件発生後、何年も経ってからその事件に関する本が出版される。それを受けてインタビュアーが関係者の話を聞いてゆくスタイルで物語は進みます。ちなみにインタビュアーが誰なのかはわからないまま物語は進みます。

事件がインタビュアーによって少しずつ少しずつ読者にも明かされてゆく様子は、最近読んだ「吉原手引草」に近い感じでしょうか。旧家で起きた大事件、それに関わった人たち、どれも恩田作品でよく登場するような感じのキャラクターたちでした。幻想的でどこか古い洋館のようなイメージ。独特だけれど恩田陸っぽい舞台設定です。

ところで、私は本を読むのが比較的速いんですが、この作品は読了までにひどく時間がかかってしまいまして、カバン本なので1日2日くらいで読み終えると思っていたのになぜだろうとずっと思っていました。決して冗長ではないし、読みにくいわけでもない。「三月は深き紅の淵を」は読みにくかったけれど。読了して初めて気がついたのは、きっと恩田陸は人を深く書くんだろうなあということ。

以前、京極夏彦が何かのインタビューで、例えば木場修太郎の家族について聞かれるけれど、設定や背景は決めているけれど書く気はない、必要がなければ書かない、みたいなことを仰っていました。作家によっては背景や設定、キャラクターの奥深くまで文章にする人もいればほとんど書かない人もいる。この作品は、登場人物のどうでもいいような細かな心の動きやバックグラウンドまで緻密に描かれています。インタビューには割愛すべき部分と本当に聞きたい部分がありますが、それを全て記載することで、読者自身が取材したような感覚になりますし、リアリティもある。そういう効果もあってこれほど細かく書かれているんだろうと感じました。作者にとって書きたいのは人であって、事件は人を書くためのスパイスでしかないような印象。だから謎は謎のままに・・なんでしょう。

物語を彩る要素のひとつに特徴的な色が幾つか登場します。例えば青い部屋、白い花、黄色い合羽、ただ、一貫した色彩は、巻末のユージニアノートにあった「ツインピークス」の色合いでした。作品自体がツインピークスみたいだとは思いませんが、全体が白と青で撮っているようなイメージ。

ひとつだけ印象に残った文章があって、「見える人間」と「見えない人間」について。見える人間、見られる人間のリスクと見えない人間のメリット・デメリットについてのくだりが、とても納得して読みました。その部分も含めて、色々な人の感情が細かく書かれていて、“人”を読める不思議な読後感でした。

JUGEMテーマ:読書
2008.09.19 Friday 22:39 | posted by ソラチ
・ 恩田陸 | permalink | comments(2) | trackbacks(2)

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2010.04.07 Wednesday 22:39 | posted by スポンサードリンク
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Comments
はっきり覚えてないけど、ものすごい読後感の悪さだけ覚えています 何なんだこの話 なんなんだ恩田陸 読んだあと落ち込んだような... 
2008/09/20(Sat) posted by きりり
他の書評を見ていると、暗い、重い読後感という話が多いのですが、わたしはそれほど後味悪い印象は受けなかったです。なぜ。ただ、ハードカバーは特にそういう印象を抱くように工夫されているらしいですね。文体だったり装丁だったり。そう聞くとハードカバー版の工夫や効果が気になるのでもったいないですね。二度読むにはちょっと。。
2008/09/21(Sun) posted by ソラチ








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ユージニア
恩田 陸 ユージニア 「ユージニア」 恩田陸・著 角川書店・出版 『かかわった人物の数だけ、真実はある』  いやぁ、面白かったです。 この本をまだ、読んでいないあなたは、幸せ者ですよ (↑キザだけど、一度使ってみたかったフレーズ)  今まで、
| 個人的読書 | 2008/09/20 12:23 AM |
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