|
評価:
森 博嗣
講談社
¥ 2,100
(2004-04-28)
児童向けミステリと思って油断した
素直に楽しめます
懐かしく感じる探偵小説かな。
|
ミステリーランド、ついに誘惑に負けて古書店ではなく通常の書店で購入してしまいました。面白いと評判の倉知淳と迷いましたが、予想通り森博嗣から購入です。わかってはいたものの出費がわりと大きい。
さて、今作は“僕”が探偵伯爵と出会い、友人の失踪事件を伯爵と一緒に追ってゆくストーリーです。表紙および挿絵はあこがれの山田画伯です。鉛筆画のような荒いタッチでしたが、作家もイラストレーターも大好きなので二重の喜び。
始終、“僕”目線でお話が語られますが、公園のブランコに物凄い勢いで乗っている探偵伯爵との出会いから、助手で秘書のチャフラフスカさんのキャラクター、独特の理屈っぽさ全てが森博嗣でした。森博嗣独特の論理展開、語りが好きなファンであれば楽しめますね。
しかし、ミステリとしてはどうだろう。友人の失踪が「
連続殺人事件」だったこと、探偵伯爵の正体、どちらも「探偵伯爵と僕」というお話には似つかわしくない気がして残念でした。探偵伯爵の奇怪さが非常に面白いので、ふたを開けてみれば大した事件ではなかった、みたいなそんな日常のミステリでも良かったのに。もしも、ミステリというジャンルを意識してこういうネタになったのであれば本当に残念です。
そういえば今回は珍しく(というか初めて?)密室モノではなかったですが、お話の中のクイズとして初歩的な密室が登場します。その辺やっぱりこだわりますね。また、あとがきはなしでした。講談社のシリーズでも新書で購入しているのでわからないのですが、森先生のあとがき読んだ記憶がないなあ。文庫はどうなんでしょう。ミステリーランドに限っては作家それぞれが子供時代の話などを書いているのであとがき楽しみだったのになあ。残念。