ながし読み日誌

文庫で読書。最近はハードボイルドに傾倒気味です。。
favorite recent entries 2009

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

2010.04.07 Wednesday | posted by スポンサードリンク
- | permalink | - | -

プリズム/貫井徳郎

評価:
貫井 徳郎
東京創元社
¥ 700
(2003-01)
結末なき結末とでもいうのか
『慟哭』から派生した新機軸の小説です。
藪の中

若くて美人で優しい小学校の先生が亡くなった。死因はアンティークの置時計で頭部を強打したためで、家には窓からの侵入の形跡が見られ、睡眠薬入りのチョコレートも発見される。明らかに他人の介入が予想される死だった。その突然の死の謎を追う様々な人々を描いたミステリ。

先生の死に衝撃を受けたクラスの子供を始め、同僚の女性教師、元恋人、父兄と様々な人間が彼女の死を推理する。ひとつの事件も複数の人間の目から見ると全く別のように映ることからプリズムなのかな?冷静に考えると、持てる情報はそれぞれ異なるので辿り着く結論も違って当然。亡くなった女性は、子供にとっては優しい先生、同僚にとっては密かな嫉妬羨望の対象、元恋人にとっては逆らい難い女王様、現恋人にとってはめまぐるしく変わるプリズムのような魅力的な女性。ひとりの人間がそれぞれの立場によって全く異なる人間に書かれていて、結果導き出される推論もなかなか楽しめました。

“オチが書かれない”話は消化不良で好きじゃないんですが、これはそこまで否定的な印象は受けませんでした。こういうのもありかなと。それだけ、それぞれの人たちの推理の過程が面白かったのかなと思います。この作品は全ての推理を読む読者には事実に進む道が残されているのかな。全部読んでいる読者にだけわかるという印象ではなかったのですが。解決編があるなら読みたいですけど、なくてもいいやという感じ。

最初子供目線からスタートしますが、子供目線で小説を書くのって難しそうです。倉知淳は抜群に上手かった気がしますが、どうしても自分の子供の頃のような言葉だったり子供社会だったりを書くしかないので。今作も少し古い時代の子供という印象が少しありました。一方で、作品中に若い女性の日記があるのですが、その日記の書き方がすごくそれっぽくてわざとらしくなくてびっくりです。

あとがきでは、こういうスタイルの有名な小説を幾つか挙げられていましたが、何ひとつ既読のものはありませんでした。ポー、泡坂妻夫、チェスタトン、デクスター。さすがにブラウン神父は少しだけ読んだ記憶がありますけど、オールド・ミステリを読みつくしているとまた違う感想が持てるのでしょうか。「誰が犯人だったか忘れてしまう」というデクスターは読んでみたい。
2006.10.18 Wednesday 10:38 | posted by ソラチ
・ 貫井徳郎 | permalink | comments(4) | trackbacks(4)

スポンサーサイト

2010.04.07 Wednesday 10:38 | posted by スポンサードリンク
- | permalink | - | -
<< 暗いところで待ち合わせ/乙一 | main | 探偵伯爵と僕/森博嗣 >>
Comments
ソラチさんが言われるとおり、解決編の無い物語の中でも比較的気持ちいい小説ではないかと(個人的に東野さんのそれは挑戦的すぎて面白みが・・・)。これってデビュー2作目でしたっけ。2作出しただけで著者の技量の高さが感じられた記憶があります。
2006/10/20(Fri) posted by たいりょう
「プリズム」ってどの書評サイトさんでも本当に評価が高いんですよね。今振り返ると“ガラス切り”と“チョコレート”の謎は何なのか気になりますね。真犯人や死因等はあまり気にならないですが。ちなみに東野先生の作品は私非常に苦手なんです。言われてみると彼の作品は確かに挑戦的だ(笑
2006/10/20(Fri) posted by ソラチ
そうなんですよ 私も読み始め子供の文章が、なんだか下手で驚きました それが気になって...
でもこういう話と知らなかったので、ちょっと肩透かし感あり 症候群が結構はじめの頃の作品とわかって驚きました 鬼流とかも読みたいんですよ
2006/11/03(Fri) posted by きりり
「慟哭」並みのパンチ力のある本格を期待しているんですが、今のところそれらしい作品は聞こえてこないですね。症候群は未読なのです。気流は続編出ているらしいですね。キャラクターはわりと良かった記憶がありますけど最初の作品だけではまだよくわからなかったので続編は読みたい。
2006/11/03(Fri) posted by ソラチ








Trackbacks
http://lovetom.jugem.jp/trackback/170
ブラウン神父について
ブラウン神父ブラウン神父(ぶらうんしんぷ)は、G・K・チェスタートン著の推理小説「ブラウン神父」シリーズに登場する、イギリスサセックス教区のカトリック司祭にして、アマチュア探偵。容姿は、丸顔で眼鏡を掛けている。 助手は元盗賊の大男フランボウ。.wikilis{f
| ミステリー館へようこそ | 2007/05/18 11:09 AM |
『プリズム』のワタシ的解決篇
 事業所から持ち帰った私物のなかに、文庫本が1冊ありました。  どうも読みかけのまま忘れていたものらしく。昨日ダダーッと読了しました。  この本です。 プリズム  推理小説の本歌取りの名手、貫井徳郎氏の作品です。  作者自身、本書をもとに読者が推論構
| ケアする本棚 | 2007/06/04 12:03 PM |
貫井徳郎「プリズム」
貫井徳郎著 「プリズム」を読む。 このフレーズにシビれた。  山名の自信たっぷりの口調に、僕はたちまち不安になった。こんな言い方をする場合、山名が間違っていることはまずないのだ。山名は天気の話でもするように、あっさりと続けた。 [巷の評判] 苗坊の徒然日記
| ご本といえばblog | 2010/05/03 8:41 AM |
仮説は覆され、仮説は覆され、
小説「プリズム」を読みました。 著者は 貫井 徳郎 小学校の女性教師が自宅で殺された事件 アンティーク時計、睡眠薬が混入された箱詰めのチョコレート、外された窓の鍵・・・ いかにもなミステリ状況の中 まさに推理、推理、推理なミステリー 周りの人々、教え子、
| 笑う社会人の生活 | 2015/03/03 5:50 PM |
最近の記事
カテゴリ
検索
過去の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
みんなのブログポータルJUGEM(じゅげむ)