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評価:
横溝 正史
角川書店
¥ 660
(1973-04)
20年の遅れを一気に取り戻した記念碑的作品
婚礼初夜に起きた密室殺人
密室殺人事件
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月イチ横溝!!
つまり月に1冊ペースで横溝を読もうという企画で。まずは「本陣殺人事件」でしょう。「車井戸はなぜ軋る」と「黒猫亭事件」の二編も収録。カドカワで読んでますが、本の帯が綾辻行人で「読んでいない、では済まされない。全人類必読の名作。」でした。
例のごとく内容もなにもかも忘れていましたが、さすがに「本陣〜」は映像でも文章でも覚えがあるので新鮮味はなしです。紅色だったり琴を使った演出など、映像で見たくなりますね。基本的に凝りに凝ったトリックは好きじゃないですが、演出という意味では加点こそあれ減点にならず。
「車井戸はなぜ軋る」は、ストーリーがイメージしやすく、舞台や設定が実に横溝っぽい作品。新聞記事や手紙によって事件の様子が書かれるが、新聞記事なのに、手紙なのに小説と変わりなく読みやすい。オチというか真相を見抜いたあたりの演出が好きです。「本陣〜」より好き。
「黒猫亭事件」は酒場の裏に埋められた女性の他殺体のミステリー。ドラマでも本でも金田一シリーズはかなり知っているはずなのに“風間”という名前でもっと早く気づくべきでした。すっかり忘れてました。金田一のパトロン。これも非常に面白い探偵譚です。さすがにミステリファンだったら辿り着くだろう結論ですが、わかったとしても楽しめるのでは。横溝正史の日本語は格別綺麗なので。