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評価:
佐々木 譲
角川春樹事務所
¥ 720
(2007-05)
こんな警官、いたらいいよなぁ
ぜひ映画を見てみたい。
2時間ドラマ
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「うたう警官」が文庫化されタイトルが変わったそうで。「警官の血」という作品が最近気になるつながりで、正真正銘はじめて手に取った佐々木譲さんの作品です。
道警本部の裏金事件が明らかとなり、“うたった”、つまり組織を売ったと囁かれる警官が自殺した。同じ頃、札幌市内のアパートで女性の変死体が発見される。その女性は警察官で、被疑者として手配されたのは、同じく裏金事件でうたったとされる警官だった。その警官の無実を信じる同僚が独自に捜査を開始する。
容疑者の津久井巡査部長には、射殺命令すら出るという強硬さ。地元署には捜査すらさせてもらえない。ただ、本当に彼が犯人なのか確証もない。なぜ射殺命令まで出ているのか。その裏には、議会で証言される前に消す、という目的も見え隠れする。タイムリミットは翌朝、議会で彼が証言するまで。彼は本当に無実なのか、彼を守りきれるか、真犯人を見つけられるか、彼を無事議会まで送り届けられるか、議会で証言する事は正義か裏切りか。警察官の葛藤と人間ドラマを描いた傑作です。素直に面白かった!!
津久井巡査部長と生死を共にした経験のある佐伯警部補がメインとなり、捜査員数人で事件を捜査するチーム戦も面白く、アクション、エンタメとしても魅力的。映像化したらさぞ面白いでしょう。また、舞台が北海道と言う事で非常に身近に読めました。映画やTVでありがちな、普段使いもしないような北海道弁も今作には登場しない点も個人的にポイントアップ。
実際に何年か前、道警の腐敗を告発する事件があり、それを元に書かれたんだろうなとは思いますが、実際の警察と比べると、脚色されて描かれている部分も多いんだろうと思います。たとえ絵空事だとしても物語を楽しむ分には十分。その辺を割り切ると、ハリウッド映画並みの風呂敷の大きさ、エンタメ度の高さが味わえる。やっぱり警察小説は面白い!大好きですよ!!横山秀夫や高村薫を読み返したくなります。
チームバチスタといい今作といい今年はアタリ作品を引く気がして嬉しいですね!!ビッグタイトルしか読んでいないからかもしれない。最近なかなか本読めないのですが、少しずつ復調してきたので、週に3冊くらいのペースで読みたい。