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評価:
法月 綸太郎
講談社
¥ 2,100
(2006-03)
ティーン向けのみにしておくには勿体無い
冒険してもいい頃。
やっぱり本格
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法月綸太郎ここまで面白いか!!! 法月作品自体初読みですが、まさかミステリーランドが初めて読む作品だとは思ってもみませんでした。それぐらいずっとずっと読みたかった作家です。このクオリティはたまらないですね。ジュブナイルですらこれほど楽しめるのだから大人を対象に書いたミステリだったらどれだけ素晴らしいのか。もう今から楽しみでなりません。
ニューヨークに住む怪盗グリフィンはメトロポリタン美術館に展示されている贋作のゴッホを本物のゴッホに取り替えてほしいという奇妙な依頼を受ける。しかし、それはその後に控える大いなる陰謀への罠だった。
ある小さな国の命運を揺るがす事件の渦中に放り込まれる、というよりもむしろ強制的に当事者にされる怪盗グリフィン。事件そのものの規模も大きく、小さな島国の特産品をはじめとする歴史も興味深く、さらに怪盗グリフィンが義賊であるという魅力。そして騙し騙される攻防のハラハラドキドキ感。子供でなくとも胸踊ります。呪術ネタも個人的には非常に魅力的でした。小学生くらいが読むと少し難しいかもしれないなあと思いながら読んでいましたが、同じミステリーランド「ラインの虜囚」のあとがきで田中芳樹さんが、子供に背伸びをさせるような作品を、、と書かれていたのを思い出しました。怪盗グリフィンの活躍を見る喜び、憧れ、子供の頃にこの作品に出会ってそういう喜びを感じたかったなあと。
舞台になるのはカリブ海のボコノン島。国自体創作なのでしょうが、ピーナッツの逸話もどこまでが創作なのかな、と思いはしたものの深くは追求せずに楽しめる。地図を開くようなそんな興ざめな事はするつもりもなくなるような冒険譚でした。これは既読のミステリーランドの中では1、2を争う面白さです。風呂敷は大きければ大きいほど面白く、しかもうまく畳まれているならなおよろしい。ちょうど近所の古本屋の閉店セールがやっていたので、明日にでも法月綸太郎の作品を探して見よう。
そういえばショックなことがひとつ。今回手に取ったミステリーランドには、ビニールのブックカバーがついていました。不審に思って書店で他のミステリーランドの作品を見たところ全てにビニールカバーがついているじゃないか!!いままで買った本にはどれひとつカバーついてねえよ。今までの分も欲しいよ、カバー。確かに汚れやすいかもと思ったけど、何で途中からカバーつくかな。どうせなら最初からつけてくれ。