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評価:
高里 椎奈
講談社
¥ 700
(2005-05)
謎めいた何か
ワカラナイ
第一部完結まで読んでからの感想なのですが
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↑アマゾンレビューの「ティーンズ小説から背伸びしたい人向け」というのに笑いました。確かにライトノベルにカテゴリされても違和感がない。むしろライトノベルなのか。“第11回メフィスト賞受賞作”に惹かれて読書。
商売する気がまったく見えないもぐりの薬屋。どんな薬でもお売りします、そんな深山木薬店の副業は、探偵まがいの揉め事解決屋・・ではなく、ヒトではないものが起こした事件を扱うというもの。メンバーは店長と店員二人。どれも美形なので講談社BOOK倶楽部の紹介文には“美男探偵3人組”とか“超美形少年”とか“美男探偵トリオ”という言葉が飛び交っているわけだ。別にその用語に惹かれたわけでは断じてない。そもそも少年は守備範囲外デス。でも表紙の美しいイラストを見る限り、右奥の青年は男前ですね。唯一少年じゃないし。
まあ、美少年に興味はなくとも事件自体は興味深い。雪が積もった学校の校庭にあらわれた全長100メートルものミステリーサークルの謎、子供が亡くなってから続く深夜のノック、そして仕事の成功に命を懸けて悪魔と契約してしまった男。それらの事件を追ううちに複雑に思えた事件たちが交差する。事件や犯人はまったくわからなかったんですが、校庭で見つかった少年の遺体のミステリは真相が素敵だった。こういうのキライじゃないです。
デビュー作なのかどうかはわかりませんが、わりと文体が荒く感じて最初はデビュー作っぽいなあと感じながら読んでいましたが、事件が進むにつれのめりこむように読めます。続きが読みたくて速攻二作目を買って来てしまいました。買いに行ってびっくりでしたが講談社文庫で既にもう何冊も出ているのですね。ノベルスを見ると他のシリーズもあるようで。とりあえずこのシリーズだけは追って読んでみよう。
探偵役の店主・秋は、まるで美少年はこうあって欲しいという妄想をそのままキャラクターにしたみたいで、低血圧で寝起きが悪かったりワガママだったり頭脳はキレるけど冷たいっぽかったり生意気だったり。正直あまりスキではない。しかし、それをカバーするのが落ち着いた感じの男前で料理が旨く女性に優しい座木と、母性本能をくすぐる要素満載の元気な子供・リベザル。面白い名前です。その他、ヤンキーっぽい僧侶だったり、喧嘩仲間のような同類の友人だったり、キャラクターはそれぞれ面白い。このあたりがシリーズで読みたくなる要因か。キャラクターだけが魅力的だったら、ただのライトノベルじゃんと思うんですが、悪魔や妖怪が絡む事件を扱う探偵という設定や、発生する事件の魅力がミステリファンにはたまらない。ライトノベルも好きという守備範囲の広いミステリファンにはオススメですね。