ながし読み日誌

文庫で読書。最近はハードボイルドに傾倒気味です。。
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2010.04.07 Wednesday | posted by スポンサードリンク
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ダック・コール/稲見一良

評価:
稲見 一良
早川書房
¥ 672
(1994-02)
どうすれば・・・
静かな時間を感じる
まさにこれこそハードボイルド
久々に出会った、文句ナシに満点だよ!!と思うような傑作。思えばハヤカワ文庫は国産小説はそれほど手に取った経験がない気が・・。

石に鳥の絵を描く男。河原で偶然彼に出会った青年は、鳥と男にまつわる6つの夢を見る。読後に裏表紙の紹介文を見てそんな設定を知りました。夢だったのか。。。そんな感じで紹介される鳥と男にまつわる短編集。どれも甲乙つけがたく魅力的なのだ。

一瞬の風景を撮らなければなない。自分の仕事、将来がかかったその瞬間に、その鳥は舞い降りてきた、第一話「望遠」。猟のために森へ入った青年は数万羽のリョコウバトの群れを目撃する「パッセンジャー」。第一話、第二話はどちらも鳥に魅せられる作品。

退職金でキャンピングカーを買い、趣味で猟を始めた男は、パチンコで鳥を仕留める少年に出会う。銃やボーガン等を使わず工夫をこらした猟のスタイルに惚れ、男は少年に弟子入りする。男と少年の冒険を描いた第三話「密猟志願」。これには本当に魅せられました。主人公と一緒になって謎の少年に弟子入りしているような、そんな気分を味わいながら読める傑作。素敵です。

刑務所から脱獄した3人の囚人を追って山狩りする第四話「ホイッパーウィル」。主人公は元兵士、隠棲して細々と狩猟生活を送る。ただ、狩の腕を買われ、追跡者として参加する。まるで浦沢直樹の「マスターキートン」のような、作品でした。短編集の中で一番ハードボイルドでありアクション要素もあり、エンターテイメントとしても楽しめるのに、地に足の着いた人らしさもあって素敵な作品。好きです。

第五話は、漁船が沈没し大海原に投げ出された男の「波の枕」。体力も尽き、もうダメだと感じた時、流木に頭を乗せて悠々と泳ぐ海亀に出会う。ネットで調べてみると“亀の枕木”は漁師の伝説で、その流木を拾うと漁運がつくらしいのです。実際に亀にそんな習性があるのかはわからないけれど、物語としてはこの短編集の中で一番好き。最終話「デコイとブンタ」、用済みとなり捨てられたデコイを拾った少年。デコイの視点で少年との冒険を描いた小品。少年に拾われ、綺麗に色を塗られ、生まれ変わったデコイの喜びと少年の切ない生き方が何より魅力的。

どれも素敵な話ばかりですが特に「密猟志願」以降の作品は、各所の書評で絶賛されていていたのがよくわかりました。確かに「猟犬探偵」シリーズのようなハードボイルドさもありますが、それよりも人と動物、大人と子供の交流や冒険が胸をうちます。重くもなく軽すぎもせず静かに落ち着いて読める作品集でした。

JUGEMテーマ:読書
2008.03.12 Wednesday 11:37 | posted by ソラチ
・ 稲見一良 | permalink | comments(2) | trackbacks(1)

猟犬探偵/稲見一良

評価:
稲見 一良
光文社
¥ 500
(2006-09-07)
個性溢れるハードボイルドファンタジィ
祝☆復刊
前作は必読です
やっぱり好きでした、「セント・メリーのリボン」の続編「猟犬探偵」です。ハードボイルドですが、好みのタイプのハードボイルド。嫌な感じがしない。そして格好良い。

猟犬探偵の竜門のもとにまた、様々な生き物捜しの依頼が舞い込む。トナカイとともに失踪した少年を追う「トカチン、カラチン」、檻で寂しく飼われていた猟犬捜しの「ギターと猟犬」、薬殺されるはずの競走馬と犬を連れて消えた老人を追う「サイド・キック」、後ろに組織が見え隠れする連続猟犬失踪事件を追う「悪役と鳩」の全四話。どれも熱く素敵な作品ばかりです。

第一話では少年とトナカイの逃避行、第二話では流しの艶歌師の人生に感動し、第三話では正義感を奮い立たされ、第四話では組織犯罪に立ち向かうスリルを感じられる、もうどの作品も甲乙つけがたく、事件を追うというスタイルのミステリ要素と、逃げる、追うのようなサスペンス性、人と出会い感動するドラマ、そして猟犬探偵・竜門のハードボイルドな生き方、様々な方向から楽しめるエンタメでした。

愛犬ジョーが寡黙ながら良い場面で活躍し、探偵と心強い相棒の物語は本当に魅力的。私にとっては身近ではない狩猟の様子も所々で描かれ、猪狩りのシーン等は迫力満点。以前の「セント・メリーのリボン」でも感じましたが、猟犬探偵シリーズの各短編は、ひとつの出来事をひたすら追うのではなく、竜門の日常を一部切り抜いて紹介した作品のような、そんな印象があります。導入部分で本編とは関係ない狩猟シーンで始まって、それは本編とは大きく関係しない、しかしシリーズには必要な要素だったり。探偵の日常生活が書かれるだけでも楽しく読める、完全に竜門という探偵に魅せられてしまっているようです。

作者が他界されているのは知っていましたが、幾つかまだ作品は残っているんだろうなあと思っていたんですが、「猟犬探偵」の刊行(新潮社版)を待たずに他界されていたと知り、ショックでした。もう猟犬探偵の活躍は見れないのだ。それが残念でならない。稲見一良さんの作品は猟犬探偵シリーズ以外にもまだまだあるようなので、限りある作品を少しずつ惜しみながら読んでいきたいです。
2007.08.06 Monday 09:38 | posted by ソラチ
・ 稲見一良 | permalink | comments(2) | trackbacks(2)

セント・メリーのリボン/稲見一良

評価:
稲見 一良
光文社
¥ 500
(2006-03-14)
自然賛美、犬賛美している、大人の為の素晴しいハードボイルド
傑作次作を読む前に本作は必読です
去年の私のベストワンです
途中まで★3つくらいかな・・と思って読んでいましたが、表題作一作だけで★5つ。満点の出来の傑作です。コテコテのハードボイルどと知ってちょっとだけ読む気が失せていたんですが、これは読んでよかった。作者の短いあとがきによると“男の贈りもの”がテーマらしい。光文社文庫で読みましたが、表紙の犬もなんとまあ凛々しい後姿で。2006年この文庫がすごい!エンタメ部門2位の作品です。

まずは一話目「焚火」は、追っ手から逃げている男が山の中で老人と出会う短い物語。この老人がとてもハードボイルド。脅し文句も生き様もカッコよい。きっと背中もカッコ良いのだろう。

二話目「花見川の要塞」は、カメラマンが訪れたトーチカには、陸軍軍曹を名乗る少年とポオさんというお婆さんがいた。戦時中にタイムスリップしたような不思議な体験を描いたお話。夜の列車というだけで「銀河鉄道の夜」を連想してしまいました。ただ、トーチカというものがわからず、要塞らしいんですが、イメージが難しくてそこだけが苦しかった。

三話目「麦畑のミッション」は爆撃機に乗っているパパと息子の約束の話。イタイ系の終わりを描くのかと思いきや、素敵な物語に仕上がっていました。手に汗握りしめて「頑張れ!」と声に出したくなるような。これは本当に素敵だった。

四話目「終着駅」。これはどうなんだ。大丈夫なのか彼らは。作品は物事を成した直後で終わり、その後が気になって仕方ない。彼らは本当に夢を実現することができるのか。しかし、主人公の赤帽のおじさん、彼の言動にこそ魅力があるんでしょうが、そこを読み込むよりも未来が気になってしまい、作者の望むような読み方ができなかったような。

そして表題作「セント・メリーのリボン」。主人公は猟犬探偵・竜門卓。愛犬のジョーと共に狩りをし、盗まれたり行方不明になった猟犬を探す探偵をやっている。そんな彼に持ち込まれるいくつかの依頼を消化する形で進む中編。主人公はフィリップ・マーロウばりのハードボイルドな生き方をしている男で、美女やワルモノ、頑固な親父、明るい少女などお約束なキャラクターが登場しつつ、謎が消化されるミステリ要素と胸をうつようないい話が合わさって、非常に魅力的な作品になっていました。何より嫌味のないハードボイルドという点がいい。大好きです。ラストシーンに惚れた読者もきっと多いでしょう。カッコよさばかりを追求した一部ハードボイルドとは違い、竜門は小さなこと、人、出来事に感動し心を動かして自分の仕事をする、そんな格好良さ。仕事を選ぶ、という頑固な一面の裏にもきちんとした理由があり、しっかりと地に足がついている。最近では横山秀夫以来、ハマリそうな作家に出会いました。
2007.07.25 Wednesday 14:04 | posted by ソラチ
・ 稲見一良 | permalink | comments(3) | trackbacks(1)
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