ながし読み日誌

文庫で読書。最近はハードボイルドに傾倒気味です。。
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2010.04.07 Wednesday | posted by スポンサードリンク
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動物園の鳥/坂木司

評価:
坂木 司
東京創元社
¥ 630
(2006-10-11)
完結。あったかいお話です。
完結ですね
共感的理解
虐待された野良猫が動物園で発見される。誰が何のために?事件を追いながら鳥井の過去やいつかは対峙しなければならない心の問題と向き合うひきこもり探偵最終話、シリーズ初の長編です。

猫を傷つける犯人を見つける、その過程は決してミステリとして上質なものとは言えないし、派手だったり大きなどんでん返しがあるわけでもない。ただこの話のメインはミステリ度ではない。探偵・鳥井がどう変わっていくのか、鳥井と坂木がどのように成長してゆくのかがメイン。

事件を解決することで否応なく過去の傷に向き合わなければならなくなる鳥井だけれど、想像していたより冷静で取り乱すことなく解決編を終えたのは正直意外でした。吊るし上げのような解決編で、これは自分の事だろうとか、自分に置き換えるとこの場に居るのはいたたまれないはずなのでは?とも思いましたが、この時点ではまだ鳥井の価値基準は“坂木”と“坂木以外”でしかない。少し唐突だったけれども最後に坂木が選んだ道。そこからのストーリーの雰囲気は非常に好きです。例えば作品とは関係ないけれど、イメージで言うなら唇を噛んで上を向いて涙をこらえる、みたいな。坂木が選んだ結論以降だけで、このシリーズを読み続けてきた甲斐がありました。

そういえば、鳥井の仕事・プログラマについては全く触れずにシリーズが終わってしまいました。少しぐらい何かあっても良かったのに、家にこもってもできる仕事として選ばれただけっぽい。また、巻末に「鳥井家の食卓」としてシリーズ内で鳥井が披露した料理のレシピが載っていました。ポテトパンケーキは簡単そうなので是非作ってみたい。そして、シークレットトラックとしてその後の彼らも描かれています。読者の心の平安のためか。わたしは無くても良かったとも思うんですが、お得ではありますね。これで終わりなのが残念ですが、短編でも長編でもたとえ端役でもいいから作品に登場した彼ら彼女らをまた見てみたい気がします。
2007.03.26 Monday 17:34 | posted by ソラチ
・ 坂木司 | permalink | comments(5) | trackbacks(2)

仔羊の巣/坂木司

評価:
坂木 司
東京創元社
¥ 720
(2006-06-17)
気色悪さと癒しの微妙なブレンド
どうまとめるのか?
唯一無二の存在…
この作品をどう評価したら良いのか、戸惑いながら有栖川有栖の解説を読むと、あまりにも的確でレビュー書く気が失せました。まさに解説で書かれていた通り。読後のもやもや感は解説で説明されてスッキリ。「青空の卵」に続くひきこもり探偵第二弾です。

疎遠だった父に少しだけ歩みより、ひきこもり探偵に変化の兆しが見えた前作でしたが、今回はいきなりハードでディープな依存っぷりから展開します。回復してねえ。ひきこもりの人間は実は身近に居るんですが、鳥井のようなケースはよくわからず、これってオーバーなのではないか、でも実際はこういうものなのかも、みたいな手探りで想像するしかなく、鳥井と坂木の依存関係をどうしても身近に感じられず理解が難しいです。そんな微妙で不安を伴う読後感については有栖川有栖の解説でしっかり書かれています。もう本当に解説の通りなんだ。

まずは第一話「野生のチェシャ・キャット」、坂木の同期入社の同僚のうち1人の様子がおかしい、その謎を追う物語。並行して鳥井が風邪をひき非常に不安定な精神状態になる。その様子があまりにもあんまりで、これはどういう読み物なのか、単純な日常の謎を解くミステリではないぞ、と改めて釘を刺されたような感じ。同級生・滝本の存在も切なく現在のところ報われない友情。坂木抜きで滝本を友人として理解できる日が来るのを祈りたくなります。

そして第二話「銀河鉄道を待ちながら」、駅で風船をもって1時間ばかり同じところにたち続ける少年の謎。これはオチも含めてわりと好き。切ない話ではあるけれど、鳥井の精神状態にあまり目を向けずに謎を追えたのが楽しかったのかも。第三話は「カキの中のサンタクロース」、坂木が幾度も女子高生に襲われる話です。襲われるといっても鞄で殴られたり手に持っていた袋をぶつけられたりだけれど悪質だ。そんな理由でそんなことするのかなあと思ってしまいましたが、ありえるかもしれない。しかし、理由もわからずに街で見知らぬ人に物をぶつけられたりしたら、続くと人間不信やひきこもりになりそうだ。怖くて外を歩けない。ラストはそうなるだろうなという展開で正直心動かされなかったのだけれど、木村さんというお爺さんがほんとうにいい。素敵だ。彼の存在がこれら作品群をプラス評価に導く大きな要素だと思います。本当に。

前作「青空の卵」では、鳥井と坂木の関係がなかなか理解しがたくどう解釈していいものやら困りましたが、「仔羊の巣」を読むと邪推する気が失せました。むしろ萎えたというほうが正しいか。彼ら二人の依存関係は、私には身近ではないので重すぎる。彼らがそれぞれ自分の足で立てるように、がんばれよ、と応援したくなるような。次作「動物園の鳥」でシリーズ最後らしいので、そこでどう決着するのか気になります。本当に事態は好転するのか。少しでもいいから幸せなエンディングであってほしい。それだけを願いながら、読むのはきっと文庫化されてからなのでずっと先になりそうだ。
2007.03.20 Tuesday 00:01 | posted by ソラチ
・ 坂木司 | permalink | comments(6) | trackbacks(1)

青空の卵/坂木司

評価:
坂木 司
東京創元社
¥ 780
(2006-02-23)
すごく感動しました
この手のジャンルは好きなのだけど・・
いろんなことを、気づかせてくれる
↑amazonレビューの「あまりにも・・・」の意味がよくわかんないんですが。
ひそかにお邪魔している他所様のblogで、まるでblogパーツかと見紛うくらいになじんで紹介されている表紙が印象的でつい書店で手に取ってしまいました。とにかく面白かった!! 創元推理文庫らしい作品でした。クオリティが高い。そして隅々まで素敵だ。

酷く辛い少年時代を送り自閉的になってしまった友人は名探偵だった。主人公の坂木だけが彼と彼以外の世界を繋ぐパイプラインのようなもの。坂木によってもたらされるささやかな日常の謎を描く柔らかく温かなミステリ。短編が5作収録されています。

全体の印象としてとても優しい。読書中本当に様々な事を考えて想って感じて読める素敵な一冊。あまりにもいろんなことを想って読んだので、うまく文章にできない。。主人公の坂木は、こんな善人絶対に存在しない!!というくらい絵に描いたようないい人で、ちょっとした事でも感動して涙する。そしてひきこもりの名探偵は他人と係わり合いになる事に全力で嫌うにも関わらず坂木にだけは全幅の信頼を寄せている。坂木が涙を流すとパニックになり一緒に涙を流す。他人には辛らつで厳しい言葉を浴びせるのにどこか優しい。そんな名探偵のお話です。

私は普段あまり心を揺さぶられるような感動を味わえないタイプなので、こんな事で?と思うようなシーンで涙を流す坂木に共感はできないのだけれど、羨ましくなるようなまっすぐなホームズとワトソンです。ただ、名探偵の抱える苦しみと、ひきこもりの友人に対して自分だけ信じて欲しいという気持ちと、なんとか外に目を向けて欲しいと言う気持ちを抱える主人公・坂木くんの内面が語られているところが印象的でした。二律背反。人間って複雑で素敵です。

この作品では様々な事情だったり思いを抱える人々が名探偵によって秘密を暴露され、結果良い方に転がるのだけれども、それぞれの人間の内面がこれほど面白く描かれている作品は久々かもしれない。北村薫の柔らかさと伊坂幸太郎のイマドキ具合を足して二で割ったような印象。特に、歌舞伎役者の元にファンから届く奇妙なプレゼントの謎を描く「冬の贈り物」と、街で拾った不思議な子供の謎「春の子供」は読後感も作品の面白さも抜群。どう素敵だったのか事細かく書きたいけれど勿体無いような。結果、わけわからん書評に。書評ですらないや。変わった探偵を見てみたい、素敵なミステリを読みたいという方にはオススメしたい。ああ、素敵なお話でした。

巻末に既刊の広告があり、続編が出ているのは書店で見かけたので知っていましたが、3作目の紹介文に「感動のシリーズ完結編」と書かれていてショックでした。終わるんですか、このシリーズ。ハマった瞬間に終わりがある事がわかってしまうとは。なんて無粋なことを。。名探偵の坂木君への依存度が非常に高い分、この先に待つ完結編が怖くてしょうがない。変化してゆく、成長してゆく過程には必ずストレス、摩擦が発生するもの。変わってゆく彼らを見たいけれど見るのが恐ろしい。でもすぐに読みますよ、続編。怖いけれども楽しみです!!
2007.03.12 Monday 01:40 | posted by ソラチ
・ 坂木司 | permalink | comments(4) | trackbacks(2)
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