ながし読み日誌

文庫で読書。最近はハードボイルドに傾倒気味です。。
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2010.04.07 Wednesday | posted by スポンサードリンク
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水の迷宮/石持浅海

評価:
石持 浅海
光文社
¥ 660
(2007-05-10)
人間の良心を信じたい人は、どうぞ!
ミステリーではなく、人間物語として読んで。
辛さが伝わってこない
新書版の装丁も良かったけれど文庫版も美しい。読了後に表紙を眺めたくなるような作品でした。やっぱりこの作家の作品は好きです。

3年前に亡くなった職員の命日に事件は起きた。舞台は、かつては廃館寸前、今や大人気の観光スポットとして変化を遂げた水族館。何者かの予告と共に展示水槽に異物を混入するようないたずらがされる。水族館を守るために奔走する職員、あざ笑うかのように発生する水槽の異常。誰が?何のために?美しい水族館を舞台にしたミステリ。

次々と異物が仕掛けられる水槽。客に覚られないように、展示生物の命も守らなければならない。犯人の要求は何なのか。犯人に翻弄されながら、事件が進行してゆく過程はスリルがあり、同時に犯人の目的、3年前の事件との繋がり、亡くなった職員が行っていたことの謎等、ミステリ部分も十分に楽しめる。

石持浅海の特長であるのが、警察機関を介入させない舞台の作り方。現代社会ではなかなか想像できないけれど、例えば「月の扉」ではハイジャック機上だったり。あれは衝撃的な舞台設定でした。今回も目の前には数千人のお客様、今まで憂き目を見てきた水族館がようやく生まれ変わったように人気スポットになったのに警察なんて呼べるか。そんな事情から職員だけで事件解決に奮闘する。警察を呼ばない事情は特に突飛なものではなかったが、水族館という舞台が何とも魅力的で、もしかすると凡庸かもしれないネタ、事件が面白く演出されていました。

ここからちょっとネタバレです。
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2007.08.08 Wednesday 21:49 | posted by ソラチ
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顔のない敵/石持浅海

評価:
石持 浅海
光文社
¥ 900
(2006-08-22)
例のごとく、本ミス2位という事以外先入観まったくなしで読んだので、読んで初めて「対人地雷」がテーマの短編集だということを知りました。私の読書傾向では重く深いテーマは敬遠しがちなので知っていたら手を出さなかったでしょう。先入観なしで読んだのが功を奏して、読後の今、読んで良かったと思います。

そもそも石持浅海の短編集はおそらくこれが初めてではないでしょうか。どんなもんだろうという緊張感と重いテーマに不安はあったのですが、読みやすく面白いのはそれぞれの短編がしっかりミステリなのです。それも本格です。動機や舞台、背景に地雷に関わる人や場所、団体が選ばれていて、少しずつ対人地雷とはどういう問題なのかミステリの面白さを味わいながら学べて感じられる。

まずは1話目「地雷原突破」、あるNGO団体のイベントで、踏むとブザーのなる無害の地雷原を演出し、多くの人に体験してもらう。架空の地雷原にはなぜか本物の地雷が混ざっており、デモストレーションで最初に歩いた進行役が亡くなる。これは事故か殺人か。この作品がとてもインパクトが強く、重いテーマでもすんなり読める作りになっていました。

第二話「利口な地雷」は地雷開発を行っている企業で起きた事件。ミステリそのものより“スマート地雷”と呼ばれる最新式の地雷に関する話が興味深い。そして第三話で表題作の「顔のない敵」。地雷原を人が住める安全な地域に変えたい、そんな思いを抱いた青年が地雷によって亡くなる。しかし彼の死には多くの疑問があった。対人地雷撤去に尽力する人々に焦点をあてたミステリで、作者が訴えたいことが全面に出てくるのではなくあくまでもミステリとして問題点も一緒に考えさせられる作品。

第4話「トラバサミ」は、ある対人地雷撤去運動を行っていた青年が事故で亡くなる。しかし彼は手製のトラバサミを所持していた。そのトラバサミはテロとして用意されたものの可能性が高い。既に仕掛けられたトラバサミを捜せ!というお話です。こういうミステリ実は大好きで、本当に面白く読みました。横山秀夫や高村薫系のサスペンスを石持浅海で味わえた事が嬉しい。5話目の「銃声でなく、音楽を」は、NGO団体がスポンサー探しをしている過程で出会った殺人事件。犯人に対するセリフが全てなのでしょうが、少し演出っぽさが見えてしまった。第6話「未来へ踏み出す足」は、試作の地雷除去ロボット、そのお披露目をした矢先に開発者の一人が不自然な死を遂げる。「銃声でなく、音楽を」と同じような効果を狙った作りに思われますが、「未来へ踏み出す足」の方が断然印象的です。確かに人死の部分はその必要性をあまり感じないのですが、そのロボットを使用する場面や様子が非常に面白い。ミステリより対人地雷に関する話の方に関心が出てくるあたり作者の意図通りかもしれないです。

最後の「暗い箱の中で」は対人地雷とは一切関係ないミステリ。エレベータという密室で起きた殺人。最小の“嵐の山荘”です。地味ですが面白く読めました。しかし、実際どのような犯行だったのかイメージすると、返り血とか血痕ってないのかなあと疑問もあるのですが。幸せな事にこれまで実際に人様が亡くなった様子を見た事がないので、解消されない疑問を抱えながら消化不良です。しかし、エレベータという舞台とそこで発生した事件は石持作品らしい。

いつか読んだ「高村薫の本」で、合田雄一郎に不朽の名作を読ませる事で、それを読んだ若い世代が名作に手を伸ばして頂けたら、というような言葉がありました。今回の「顔のない敵」という短編集も、対人地雷という大きなテーマを掲げながらもそのアクセスの方法はNGO団体だったり自衛隊員だったり警察官だったり記者だったり開発者だったり。特に問題点ばかりを全面に押し出しているわけではないさりげなさが気持ちよい。様々な角度からミステリ、つまりエンターテイメントとして提供しているので、その楽しさを味わいながら結果として地雷について関心持つことができる、そういう作品でした。地雷に関心がないけど質の良いミステリを味わいたい、そんな人に読んでもらって感想を聞きたくなる一冊。
2007.04.24 Tuesday 09:15 | posted by ソラチ
・ 石持浅海 | permalink | comments(2) | trackbacks(0)

セリヌンティウスの舟/石持浅海

評価:
石持 浅海
光文社
¥ 800
(2005-10-20)
「絶対的な信頼」をどこまで許容できるか
長すぎる。
で、何だっけ?
石持作品の特長は警察機関を関与させない場の作り方。過去の作品どれも本当に面白くオリジナルな舞台ばかりでした。さて、古書店でゲットした「セリヌンティウスの舟」、走れメロスがテーマです。

荒れた海で遭難したダイバー6人。バラバラにならないように海の上で手を繋ぎ、輪になって救助を待つ。そんな非日常な出来事でかけがえのない友人となった6人。その内の1人が6人全員で飲み明かしたその日に自殺する。

絶対的な信頼感で結ばれていたはずなのに、なぜ彼女は死んだのか。その死に何者の関与もなかったのか。残された5人が死を悼むために集まった席で、彼女の死の謎が解かれる。そんなスタイル。5人で頭を付き合わせて事件を追う様子は本当に石持作品らしい。あまりにもらしさに嬉しくなってしまいました。

海に関してそれほどの思い入れがないので、彼女の抱いた想いは正直理解できない。ただ、集まった5人のどれが探偵役かもわからず、彼女の死に疑問の余地があるのかという謎も、ついでに本の薄さも丁度良く、非常に読みやすい。酷評が多い中、私はわりと面白かった。

「扉は閉ざされたまま」もそうだったけれど、石持浅海の作品はある事件の一部分を描いたものが多く、後日談だったり1人の人生をつきつめて追って書くような事はないので、読者には想像する余地があって好きです。今作もあの終わりはどうだみたいな声も聞こえてきそうだけれど、そして私も彼が選んだ手段は納得いきませんが、作品の終わりとしてはありなのではないか。メロスとディオニス王が共犯者でセリヌンティウスを試しているという話も面白い。友情って試すものではないと思うんですが。
2007.04.20 Friday 23:03 | posted by ソラチ
・ 石持浅海 | permalink | comments(2) | trackbacks(0)

月の扉/石持浅海

評価:
石持 浅海
光文社
¥ 620
(2006-04-12)
予想外
独創性はバッチリ!!
新興宗教的な話で個人的には好きではなかった

いやー、おもしろいです。石持浅海さんの作品はこれで3作目ですが今のところハズレなしです。勝率高いですね。読みやすさもさることながら、設定(状況)の突飛さが一番魅力的であり特徴的。探偵が活躍する推理小説にとって科学捜査や警察機関の介入は枷になる。それをどう排除するか、どのように閉鎖空間を作り出すかにこの作家さんは非常に気を使われているように思えます。それくらい、どの作品でもクローズド・サークルがつくり出されている。今回の舞台はハイジャックされた旅客機です。

沖縄の那覇空港で旅客機が離陸前にハイジャックされる。犯行グループは3人で乳幼児を人質に取り、警察への要求はただひとつ、不当逮捕された「師匠」を空港へ連れてくること。しかし、彼らが立てこもった機内で不可思議な殺人事件が発生する。

ハイジャック犯たちの「師匠」は少年少女の更生を目的にしたキャンプを主宰する男性で、人格者の彼は誰からも慕われるカリスマのような存在。言い掛かりのような逮捕だが、彼の弟子とも言うべき犯人たちがハイジャックという強行手段を取った理由や、師匠の釈放ではなくあくまでも空港へ連れて来ることを目的とした前代未聞の要求の謎もじりじりと明かされて面白い。輪廻転生という考え方も一部共感が持てるものであり、一歩間違えれば眉唾モノの内容を非常に上手く書かれているように感じました。

機内で殺害された女性の死因は読んでいて痛くなるようなある意味恐ろしい状況。読みながらリアルに想像してしまい痛くて痛くてしょうがなかったです。思い返しても痛い。私だったらきっとパニックになって大騒ぎするだろうなあと思いましたが。まあ、謎解き、謎具合(?)もドキドキで面白い。犯行グループの面々も非常に細かく書かれていて、探偵役の仮名・座間味くんもいいキャラクターでした。石持浅海さんの作品、本当にツボですね。面白くてたまらないです。無駄がなく読みやすいし、加えて今回は綺麗なお話だった。今のところ文庫落ちを待って読んでますが、待ちきれないー。正月帰省時には一冊も本を読めなかったのに正月休み最後の夜にいい作品を読めてとりあえず満足です。
2007.01.04 Thursday 01:03 | posted by ソラチ
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アイルランドの薔薇/石持浅海

評価:
石持 浅海
光文社
¥ 580
(2004-09-10)
おもしろかった
自然な密室
無宗教の国

9月はミステリー、と決めたのでどかどか読みます。
これは予想以上に面白かった。
正直、最近読んだミステリで飛びぬけています。

南北アイルランドの統一を目指して和平交渉を控えた時期に、湖岸の宿で武装勢力NCFの幹部で和平反対派の大物が殺害される。居合わせた宿泊客は8人。その中にはNCFの人間も含まれていた。宿泊客全員の承諾を得て、NCF幹部による犯人探しが始まる。

アイルランドの武装勢力の話なので、「リヴィエラを撃て」のような話かと思いきや、ストレートなミステリでした。いや、面白い!!これが処女作ですか。事件を公にできないため警察機関が介入できないという縛り、NCF内の争いの顛末とも言い切れないシチュエーション、身元あやしい宿泊者たち、犯人は誰かと言うミステリーに加え、事件には関係ないけれど客に紛れている凄腕の暗殺者探しと盛りだくさんです。前回読んだ「扉は閉ざされたまま」に近い読後感。まじ面白い。難があるとすれば本のタイトルくらいかな。

犯人=暗殺者ではないので、暗殺者の正体を追求する手が鈍り、正体を知って舌打ちです。暗殺者が誰かよりやはり犯人は誰かが気になるし。動機も犯人もミステリ慣れしている人であればすぐに辿り着きそうな感じだけれど、うまいタイミングで事件に進展があったりミスリードされまくり、とにかく飽きずに読めました。

探偵役はNCFの幹部と日本人科学者。事実上は日本人科学者だけれど。遺体を粗末にしたり、被害者の部屋の捜索が遅れたりと、あからさまな伏線もありましたが、それもこれも素人が捜査をしているのだから見落とし、手際の悪さはあっていいし、それすらリアリティがあるように感じられる。冷静沈着で頭がキレる探偵役も魅力的だし、宿泊客ひとりひとりが怪しさ全開。犯人あてが好きで、しかしなかなか犯人をあてられない私のようなミステリ読みにはたまらないですね。アイルランドの歴史背景の説明も長すぎず短すぎずわかりやすくて、作品全体に無駄が少ない感じ。二作続けて面白かったので、まだまだ読みたいですね石持作品。
2006.09.12 Tuesday 22:50 | posted by ソラチ
・ 石持浅海 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

扉は閉ざされたまま/石持浅海

評価:
石持 浅海
祥伝社
¥ 880
(2005-05)
優佳に嫉妬
面白い小説ではありますが…
タイトルが一番良かったりして。

横溝の怖い表紙がブログを開いてトップにあるのは嫌なので、さっさとログを流すべく薄い本を選らんで読みましたが、思いのほか面白い。これは映像化しても面白いだろうなと思える作品。

高級住宅地の洋館、その実は高級住宅地での生活と美味しい料理を味わうためのペンションを舞台に大学の同窓会として集まった面々。宿に着いて小休止の後、食事時に一人だけ居ない。部屋の扉は閉ざされたまま。犯人だけは彼が部屋から出てこない事を知っている。いわゆるコロンボスタイルで犯人目線でストーリーは展開し、殺人を犯してからの探偵との推理バトルがメインです。

探偵が真相に辿り着くまで一度も扉が破られないという縛りや、魅力的なキャラクター達、そして見事なオチまで満点です。頭の良い犯人なのに凡ミスがあったり、ウィスキーについてはアリエナイと思いましたが、探偵が犯人に最後に求めたもの、キャラクターの描き方が好き。しかし、動機だけは微妙。なんだそれという感じ。そこだけは減点でした。惜しいなあ。新書だけれど非常に薄いので楽しく読めます。しかし内容はその金額以上出してもいいものだった。
2006.08.16 Wednesday 16:32 | posted by ソラチ
・ 石持浅海 | permalink | comments(6) | trackbacks(2)
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