ながし読み日誌

文庫で読書。最近はハードボイルドに傾倒気味です。。
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2010.04.07 Wednesday | posted by スポンサードリンク
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くらのかみ/小野不由美

評価:
小野 不由美
講談社
¥ 2,100
(2003-07-30)
黒祠の島と似た読後感だけど面白かったです
現実を見つめる、鋭い目
座敷童を当てました
真っ暗な部屋の四隅に人が散らばり、一人目が壁際を進んで二人目の肩を叩く。叩かれた二人目はまた壁際をすすみ三人目の肩を叩く。本家の集まりで出会った四人の子供が蔵の中で行った「四人ゲーム」は、四人の人間では成立しないことに気づき、明かりをつけた蔵の中には子供が五人になっていた。増えたのは誰か。

確かに蔵へは4人で入った気がする。誰もが最初から居たような気がする。みたいなミステリーから始まり、本家に集まった親たちが揉める後継問題。そして次々と不思議な事件が起きるわけです。夜に火の玉が浮いたり、井戸がキイキイ鳴りだしたり。屋根裏部屋のような部屋で子供だけで夜を過ごしたり冒険する様子は懐かしい田舎の親戚の家を思い出すような懐かしさ。しかし、ミステリ部分が、大人たちの問題と切り離せないのが減点ポイントでしょうか。大人な事情、大人な事件はない方がミステリーランドとして魅力的だったかなあ。小さい子供の頃にもしこの作品を読んだらどれだけ理解できただろうかと思ってしまいました。大人として読むなら十分面白いんですけどね。同じように大人としてはあまり怖くなかったですが、子供の私だったら、怖いと感じただろう。ただ、井戸の側でのお兄ちゃんの事情はちょっと夢がなかった。そこは少し残念。今作の雰囲気、空気で今度は大人向けのミステリ、ホラーを読みたいです。

冒頭の、ひとり増えてる!!というミステリは、聞くところによると、冬の山小屋で4人の人間が眠ってしまわないように一晩中やっていたという話が有名らしいですが、元ネタとかあるのかなー。
2007.10.21 Sunday 20:29 | posted by ソラチ
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華胥の幽夢/小野不由美

評価:
小野 不由美,山田 章博
講談社
¥ 683
(2001-09-05)
厳しさをあわせ持つ理想的な世界
泰麒の悩み
十二国記シリーズの短編集

十二国記シリーズ最新作、といっても2001年発刊です。
「冬栄」「乗月」「書簡」「華胥」「帰山」の5作からなる短編集。
どれも秀逸です。

まずは「冬栄」、泰麒が使者として漣国を訪ねるお話。連は戴国とは対極にあり、南の暖かい国。農民出身で王宮の中に畑や果樹園を造る廉王に驚きつつも王とは麒麟とはなど悩み深い泰麒が多くを学ぶ成長の物語。「黄昏の岸 暁の天」で廉麟が涙ながらに語った噂の廉王。想像以上に鷹揚で朴訥とした王様でした。キリキリ追い詰めるタイプの泰王とは対照的です。波乱が起きる前の一時の幸せな戴国のお話。その後の戴の荒廃を思うと胸が痛みますが、幼い泰麒が登場する最後のお話です。ひたすらかわいい。

「風の万里 黎明の空」で峯王がたおれた芳国。「乗月」は、首謀者の月渓の深い悩みと決断を、慶国からの使者・青辛が刺激し後押しするお話かな。つまり祥瓊が去った後の芳国のその後ですね。音もない静かなシーンで展開する青辛と月渓の二人舞台を見るような感じ。実際には他の人たちも登場しますが。後半、間接的にではありますが、大岡裁きのような粋な計らいをする供王が登場します。珠晶は有能な王ですけれど、時々、失道するんじゃないかというくらい麒麟が一方的な暴力を振舞われているように見えます。大丈夫か、恭国。あれはあれでバランスが取れているのかな。

「書簡」は、陽子と楽俊の文通(?)を書いたもの。時期はおそらく「風の万里 黎明の空」の前くらいだろうか。どちらも精一杯生きてる、頑張っている姿が書かれていますが、延王、延麒の褒められたものではない生活態度も一部明らかになっていますね。楽俊の大学生活も少し書かれているし完全にファンへのおまけ的な話です。

で、今回の再読で一番衝撃的だったのが、「華胥」。才国の王としてたった砥尚。有能で潔癖な誰もが認める強い王。それなのに、なぜか采麟が失道する。何が悪いのかわからないが、確実に才国は沈みつつある。後戻りはできない。そんな沈む直前の国のお話です。十二国記シリーズは何度も何度も読み返していて、このお話も当然複数回読んでいるはず。この話だけ、特にシリーズ共通のキャラも出ていないし、いつの時代かもわからないし、という違和感がずっとあったのですが。。出ているじゃないですか!!現采王。これまで数年間気づかなかったよ。しかし、今回新たに思ったのが、これってミステリーじゃないでしょうか。誰が○○を殺したのか、なぜ国が傾くのか、みたいな。そして探偵は青喜に間違いありません。

そしてラストは「帰山」です。これもシリーズのファンへのおまけみたいなものですね。沈みかけた柳を見に来た利広は風漢に出会う。彼らはいつも沈みかけた国で定期的に遭遇する。国の寿命とは、みたいな論説と愉快な奏国一家の様子が見られる短編。本当に好き勝手に生きている風漢と利広。そして王が自ら食器を下げて茶を淹れるみたいな庶民的な生活が展開される奏国王宮。ただ、十二国の評論家らしい利広の言によると今度の慶国はいい感じらしいのでそれはファンとして著者のお墨付きを貰ったみたいで嬉しいですね。

これでひと通り十二国記シリーズ終わりでしょうか。「魔性の子」は書棚の見える範囲になかったので、また今度ということで。十二国記は続刊の予定はあるのかなあ。おそらく中途半端になっている戴国の話でしょう。しかし、他の国の大きな話も読みたい気がするし。つまりは、どんな国のお話でも十二国記だったら何でもいいというくらい楽しみです。「華胥の幽夢」発売から5年。そろそろ出てもいいのになあ。
2006.11.03 Friday 14:38 | posted by ソラチ
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黄昏の岸 暁の天/小野不由美

評価:
小野 不由美
講談社
¥ 557
(2001-05)
あぁ、また・・・・
疑心暗鬼。
ホラー小説

評価:
小野 不由美
講談社
¥ 557
(2001-05)
陽子の器の広さ
なぜ続きが出ないのか、どなたかご存知ですか?
あぁ、やっぱりまただ・・・・

本編?としては現在のところ最新作の「黄昏の岸 暁の天」です。とは言っても2001年の作品で、その後の「華胥の幽夢」も短編なので、現在の彼ら彼女らを知る術はこの一冊のみ。十二国記シリーズ新刊予定あるのかな。

シリーズの中で度々登場していた戴国の不穏な噂。国内で大きな乱があり、王も泰麒も行方不明、だが亡くなってはいない様子。ついに十二国記シリーズ本編で戴国の事情が動きます。満身創痍で慶国へ救済を求めてやってきた戴国将軍・李斎。彼女から語られた戴国の現状は、村々は焼かれ王を慕う者は処刑され、ただ滅亡へとひた走る。「戴の民には自らを救う術がない」と繰り返す李斎。助力を求められた景王・陽子は戴国を救えるか。

救えるわけないでしょう、他国なのに、そもそもなぜ助けを求める相手が慶なんだ、みたいな疑問が始終つきまとい、悶々と経過を読み進む、そんな感じなのです。慶国女王はこの世界に疎いし、同じ蓬莱出身の泰麒に同情してくれるかもしれない、仮にも将軍職に付く者がそんな浅薄な考えではいけません。みたいな、どうしても「なぜ景王?」という疑問があって、読後もやはり消化不良な気が。きっと、荒れ果てた戴国にしっかりとした結末や未来が見えないからかもしれません。今作に限ってあとがきないし。こういう時こそあとがきが欲しいものです。

李斎の回想シーンで語られる戴国で起きた変事と時系列を把握するのにいっぱいいっぱいで、さらに泰麒サイド、現在の慶国での出来事も一緒に語られるので、記憶力の悪い私には、しっかり読まなければすぐに混乱してしまいます。実際に戴では何が起こったのか、李斎の口から語られる内容も曖昧でよくわかりませんし。戴国の官僚達がどうなったのか、戴で何が起きているのか非常に気になりますね。わからないことだらけです。

そうは言っても「風の万里 黎明の空」で登場した反乱軍の面々が生き生きと登場し、彼らのその後が見れて嬉しい限り。そして初登場なのに存在感が大きく、ひときわエキセントリックな範国主従がかなり面白い。彼らは今回みたいに主役ではなく脇役として読みたいかも。300年もの長い統治にはそれなりの波乱もあっただろうけれど、厳しい話よりは少しでも楽しい話、嬉しい話が読みたいと、「黄昏の岸 暁の天」を読むと本当に強く思います。何より今作ではまた泰麒に会えたのが一番の収穫ですね。純真無垢だった泰麒が成長してしまったのは残念だなあ。
2006.11.01 Wednesday 19:46 | posted by ソラチ
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図南の翼/小野不由美

評価:
小野 不由美
講談社
¥ 693
(1996-02)
クソ小生意気な少女の壮大なる挑戦の物語
続きに期待して・・・
アタシの一番好きなキャラが主人公。

十二国記祭り、ゆっくり読んで楽しもうと思いましたが、読み出したら止まりません。小野不由美の最高傑作と言っても過言ではない「図南の翼」、やっぱりこれはベストです。

王は麒麟が選ぶ。国が倒れ、新しい麒麟が蓬山に生まれて王を選ぶ時期になると、国民は昇山し天意を諮る。王がたおれてから27年、荒廃した恭国で12歳の少女が昇山する過程を描いた物語。

先王を亡くし、天災や妖魔による襲撃に荒れた恭国の中で、お金持ちの家に生まれて何不自由なく暮らす珠晶。子供なのに、子供だからと侮られながらも昇山を決意するが、蓬山までの道のりは黄海という人が踏み入ってはいけない世界。同じように昇山する大勢の人がひとり欠け、ふたり欠けとどんどん数を減らす中で、自分の頭で考え必死に生きる少女の姿に、本当に心打たれます。

久々に読んで思いましたが、実はこれ、かなりのサバイバルですね。そんな気が全くしないくらい完璧な物語ですけれど。十二国記という世界観で書かれてはいるけれど、シリーズものであることのメリットを取っ払ったとしても、読み物として本当に傑作です。

「あたしが王さまになったら、悪いようにはしないわ。おじさん、運が良かったわね」と言い放つ12歳のコドモ。何不自由のない家に生まれたから、貧しい人の気持ちなんてわかるわけない、そんな事を人前で堂々と言える、度胸も覚悟も意地も人並み以上の珠晶という少女。このキャラクターがとにかくいいです。どうしてこんなにも負けん気の強い少女を主役に据えたのか、このキャラクターでなければこんなにも感動しなかったはず。特に380ページ以降の、某天仙に向かって泣きながら昇山に対する覚悟を叫ぶシーンは圧巻です。泣きそうです。こういうのが読みたいんだー。

しつこいけれど十二国記シリーズの中で最高傑作だと勝手に思っている「図南の翼」ですが、著者によるあとがきを読むと、なんと番外編だそうな。番外編と本編の違いがいまいちわからないのですが、慶国メインが本編なのかな。でも「風の海〜」は泰の話だけれど、、、むむむ。
2006.10.31 Tuesday 23:13 | posted by ソラチ
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風の万里 黎明の空/小野不由美

評価:
小野 不由美,山田 章博
講談社
¥ 683
(1994-07)
おすすめです
十二国記シリーズは、ヒトとして大事なものを教えてくれる気がする
人それぞれの迷い方。

評価:
小野 不由美
講談社
¥ 683
(1994-09)
星5つじゃあ足りない
うん、よかった。
自分の力で見つけるもの。

いやー、楽しい。
どれがベストだなんて言えないくらい面白いです、十二国記。
今回読んで初めて気づきましたが、挿絵にあった山田章博さんのサインがいつからかなくなっているみたい。表紙にはサインありましたね。あったりなかったりするけれど、ひそかにイラスト見る時にサインを探す楽しみもあったのに。。

それはさておき、今回は慶国での内乱を舞台に3人の女の子が出会い、共に戦う物語。倒れた峯王の公主・祥瓊、才国?の地仙・鈴、そして景王・陽子。陽子の苦しみや葛藤は第一作で詳しく語られたので、その他二人の葛藤がメインです。上下巻ですが、改めて見ると意外と厚い。今まで気づかなかったのは面白かったからですね!!

まずは祥瓊。芳国の華として大切に育てられた少女。何も知らず美しく着飾るだけの生活が、内乱によって峯王、麒麟、皇后が倒れた事により瓦解する。名を変え田舎の里家に出されても、かつての王や王族を憎む民により私刑に遭い、国外追放となる。なぜ自分がこんな目に遭わねばならないのかという怒りは、同じような歳で王となった景王を羨み憎しみに摩り替わる。

そして鈴。海客で言葉が通じない、帰れない、誰も助けてくれないという逆境に負け、自分だけが可哀想、世界で一番自分が不幸なんだと頑なに信じて疑わない少女。同じ海客である景王なら自分に同情し自分を助けてくれる、そう信じて慶国へ旅立つ。

祥瓊も鈴も、最初は本当に嫌な人間で、しかし誰でもどこかで思ったことがあるだろう気持ちが書かれていて、そんな彼女たちの旅は、考え方や生き方が一変する出会いが待っている。シリーズおなじみの楽俊だったり、船の上で出会った少年だったり、内乱を計画する人々だったり。こんな凄い出会いは人生の中でめったにありません。なので出来すぎだとは思いつつも内乱や国の行く末、関わった人たちが気になって面白くて読み止りません。

そして桓たい(機種依存文字ですか!!)や虎嘯、夕暉等のメンバーが最高にいいです。そしてこの作品の見せ場は禁軍と退治する王のシーンと、ラスト完了を前に説教をたれる景王のシーンですね。どちらも何度も何度も読み直してしまいました。続編すっ飛ばして「黄昏の岸 暁の天」を読みたい。彼ら彼女らのその後をすぐにでも読みたくなります。
2006.10.31 Tuesday 19:38 | posted by ソラチ
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東の海神 西の滄海/小野不由美

評価:
小野 不由美
講談社
¥ 641
(1994-06)
おちゃらけて、軽い感じが好きなのかも。
王故に。
あの名君の過去が今明かされる

ようやく雁主従の物語です。これは面白くて何度も何度も読み返しました。作者によると十二国記の番外編として書かれたようです。雁主従が国を建て直す過程と延王が王座に着くまでを過去、現在織り交ぜて語られます。番外編らしく雁主従のコントのような日常が読めて楽しい。

かつて暴君であった梟王により焦土となった雁。二十数年でようやく緑を取り戻したその国で、麒麟が誘拐される事件が発生し、やがて玉座を狙う内乱へと発展する。

名シーンはいくら挙げてもキリがない。まず、何より面白いのが雁主従と側近との関係。「おまえが王だ、残念ながらな」みたいに吐き捨てられる王ってどうよ。雁の有能な官僚たちが青筋立てて追い回すことをやめて諦めの境地に達するまで二十数年。「その境地に達するまでの過程を思うと哀れだな」と評されるように、雁主従(どちらかと言えば王)に振り回される真面目な側近の憂いも見所のひとつ。

そして“蓬莱”時代の延王の様子、考え方、従来の鷹揚さや国を背負う責任や意志みたいなものも大きな見どころ。「国が欲しいか」というあのシーンと、治めるべき民も何もない荒土を眺める様子はかなり好きなシーンです。延麒は、涙など流さなそうな無感動でこまっしゃくれたコドモという印象がありましたが、荒土を見て怒鳴りも責めもせずに前向きな延王に対して「六太は俯いた。なぜだか、泣きたい気がしたからだ」という一文にかなりやられました。押しつぶされそうな重責だったり、話が違うと責められるかもしれないみたいな不安だったり、「任せろ」と言い切る王が居ることの安心だったりが、13歳の麒麟にはあったのか、みたいな。これまで登場した麒麟の中ではかなり扱いが難しそうな、聡くて敏感な麒麟のようです。でもこのシーンが十二国記シリーズ通しても1、2を争うくらい好き。完全に妄想と主観ですけど。

もうひとつ。反乱を起こす親玉の斡由という人間。負ける事、自分の落ち度を絶対に認めないみたいなプライドのかたまりで偽善者ですが、そういえば十二国記には、こういう人いるいる、みたいなレベルではない嫌な人間が登場します。時には主人公だったり、メインのキャラクターだったり、今回みたいに敵だったり。何が嫌かって、だれでも持っている昏い部分を突いてくる。例えば、陽子のように、誰とでも適当に仲良く、誰からも嫌われずにと思う気持ちだったり。そう見ると、十二国記はファンタジーだけれど、人間らしい人間の物語だったりするなあと斡由を見て思いました。
2006.10.29 Sunday 20:26 | posted by ソラチ
・ 小野不由美 | permalink | comments(2) | trackbacks(0)

風の海 迷宮の岸/小野不由美

評価:
小野 不由美,山田 章博
講談社
¥ 462
(1993-03)
暖かい気持ちに
あなたは泰麒に萌えるか?
「麒麟」を主人公にしたシリーズ第2作目

評価:
小野 不由美
講談社
¥ 462
(1993-04)
かわいい
覇気を恐れ、覇気に恋焦がれる
子供故に。

十二国記第二作は小さい麒麟が懸命に生きる「風の海 迷宮の岸」です。どちらかといえばオヤジ好きで、少年や子供にはあまり関心はありませんが、この作品に限っては小さな麒麟が愛しくてたまらない。純真無垢で精一杯生きている子供に頬がゆるみっぱなしです。

祖母に叱られ雪の積もる庭へ放り出された幼い少年。どこからともなく差し伸べられた暖かい手を握ると全く異世界へ辿り着いてしまった。

前作同様、現世から十二国記の世界へやってきた者の物語ですが、前作は王座に着くまでの話だったのに対して、今作は麒麟が王を選び国へ下るまでのお話です。シリーズものとしては二作目にして激しくネタバレな設定ですね。前作では謎だった逢山の様子や“麒麟”という生き物の存在。麒麟の持つ様々なミステリー、王を選ぶこととは、国の仕組みとは等、新しい設定が次々と登場します。そういう意味でシリーズを楽しむ上ではこの上なく嬉しい一冊です。

読んでみなければわからないでしょうが、主人公の少年・泰麒の愛おしさは言葉に表わせないです。どのシーンが一番印象的だろうと振り返っても冒頭からラストまで細部に至るまで無垢で愛らしくてたまらない。どのシーンが一番だなんて言えるものですか。こんなにも可愛い子供が描ける小野不由美という作家にただただ驚くばかり。この先、泰麒の待ち受ける運命はあまりにも過酷で辛いものですが、この作品と「華胥の幽夢」に登場する短編だけは幸せな泰麒を見られます。続巻をすっ飛ばして「華胥の幽夢」が読みたい。

そういえば、シリーズ二作目としてはファンのハートをがっちり掴むべく、前作登場した延王、延麒、景麒が再登場しています。他国に来てまで全くかわらない延王と延麒。そして景麒に至っては彼の比較的珍しい一面を楽しむことができるので、前作目立たなかった景麒のオリジナリティ(不器用さだったり、無愛想だったり、慇懃無礼だったり。。)が際立っていて不思議に愛着が沸く一冊です。さて、次作はいよいよ最高に楽しい雁主従の物語です。
2006.10.28 Saturday 22:55 | posted by ソラチ
・ 小野不由美 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

月の影 影の海/小野不由美

評価:
小野 不由美
講談社
¥ 557
(1992-06)
素晴らしい!
命を棄てる程の絶望
ありじごく

評価:
小野 不由美
講談社
¥ 557
(1992-07)
うん、よかった。
上巻を読んだ後、救われる下巻。
引き込まれます。

まじょ。さんのブログの企画に便乗して十二国記祭りです。もっと早くにやろうと思っていたのですが、なかなか時間が取れず、来月にずれこみそうな様子。そういえば月イチ横溝もまだだったり・・。

「月の影 影の海」は紹介するまでもなく、小野不由美ファンタジーの傑作「十二国記シリーズ」第一作です。男性読者や年配の読者に配慮してか、講談社文庫でも出ていますが、ここはやはり尊敬してやまない山田章博画伯のイラスト入りであるX文庫ホワイトハートでの読書がオススメ。

学校では優等生で誰とでも適当に仲良くする弱気な女子高生・陽子が主人公。彼女はある日突然現われた、見ず知らずの男性に連れられ全く知らない世界にひとり投げ出される。辿り着いた農村で捕らえられ、妖魔に襲われ、人には裏切られ、心も体もボロボロになり、誰も信じられない。そんな彼女の孤独な戦いと成長を描いたファンタジー。

序盤の学校生活の彼女は、誰からも嫌われないように振舞ってきた弱さが生生しく書かれて、共感が持てたりイラっとしたりします。どちらかといえば“イラッ”が多いのですが、徐々に現実をかみ締めて強くなってゆく、ハラをくくって現実を受け入れる様子は本当に傑作ですね。それこそが今作の見せ場であり見どころであるので、どん底で戦う上巻の方が見ごたえがあるかとひそかに思います。

一方、名セリフや名シーン盛りだくさんの下巻。延王と初めての会談シーンはもう何度読み返したかわからない。本当の名シーンは楽俊と陽子の距離のくだりですね。あれは文学史に残る名シーンだ。あまりの人気にPS版でゲームも2作出ていて、どちらも購入&クリア済みですが、その中で十二国記クイズがあり、選択肢のひとつに「あのネズミは裏切るぜ」というセリフがあって爆笑した記憶があります。なので、私にとって十二国記シリーズ「月の影 影の海」の一番記憶に残るセリフは残念ながら「あのネズミは裏切るぜ」なのです。

気弱な女子高生・陽子の成長物語がベースな今作は、シリーズの中でも抜群の出来ですが、ひとつだけ気に入らない点が。ラスト、慶国へ救出に向かうシーンがわりとカットされがちで戦闘シーンもなく詳細もあまり語られずに終わったのがあっけなくて残念な感じ。これがうまく補完されていれば間違いなく十二国記シリーズ随一の傑作だったのにな。ちなみに私は「図南の翼」が一番傑作だと思っています。本当は甲乙つけ難いくらいどれも好きなんですけど。
2006.10.27 Friday 22:22 | posted by ソラチ
・ 小野不由美 | permalink | comments(1) | trackbacks(0)

黒祠の島/小野不由美

評価:
小野 不由美
新潮社
¥ 700
(2007-06)
閉鎖的社会を書かせたら天下一品
ひぐらしのなく頃に
風車が・・・

「孤島」「口を硬く閉ざす島民」「黒祠の島」最高のシチュエーション。小野不由美初の本格ミステリ。

仕事上の知人が失踪し、彼女を追って「黒祠の島」へ向かう主人公。しかし、島民は余所者には誰も本当のことを話さない。そして、樹に磔にされた惨殺死体が発見される。

本格ミステリとしては謎も犯人もオチもなかなか面白い。何より小野不由美のミステリが読めるそれだけで心躍ります。小野不由美らしく緻密に書き尽くされた、一冊の本にこれほどというまで詰まった感じがしました。

主人公は失踪した彼女をそこまで一心不乱に追い求める理由があったのか、友人むしろ知人の彼女のためにそこまでするか少し疑問。余所者に対する徹底した排他的な島民たちや作品全体に漂う横溝くさい雰囲気が古き良きミステリという感じがして嬉しいです。意外な結末ではなかったのが少し残念。ちなみに「黒祠」とは、国の定めた様式から外れた神社のことを言うそうです。
2006.06.11 Sunday 07:59 | posted by ソラチ
・ 小野不由美 | permalink | comments(2) | trackbacks(1)
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