ながし読み日誌

文庫で読書。最近はハードボイルドに傾倒気味です。。
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2010.04.07 Wednesday | posted by スポンサードリンク
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ミステリーズ―完全版/山口雅也

評価:
山口 雅也
講談社
¥ 700
(1998-07)
新たな可能性の追求という意欲は買えるが
『このミス‘95』国内部門第1位
95年このミス1位というタイトルを知ってからずっとずっと読みたかった1冊です。全く前情報ナシに書評は一切見ず挑んだので、まず、短編集だったという事に驚き。インデックスを見るとDISC1とDISC2とそれぞれ5話ずつ分かれていて、音楽アルバム風になっている。短編だと知らずに読んだので、DISC1を読み終えた時、それぞれのミステリは布石となってやがて収斂されていくのだろうとやや本気で信じていたのですが、、、全て短編でした。

短編といえば傑作は多数ありますが、ミステリの短編としては最近読んだジェフリー・ディーバー「クリスマス・プレゼント」より少しクオリティが高い感じ。作品の長さのせいかもしれません。DISC1で印象的だった作品が「禍なるかな、いま笑う死者よ」。お笑い番組の大物プロデューサーが、老いたお笑い芸人に逆恨みされ、復讐される話を描いたもの。復讐に使用されたモノやシチュエーションを考えるとオチは容易に想像つきそうなものだが、考える暇もなくオチに至るのは短編の特性が十二分に発揮された結果だと思います。振り返るとまあどうなんだろうというネタではあるんですが純粋に面白かった。「解決ドミノ倒し」のようなドタバタ推理劇も結構好き。

DISC2は「あなたが目撃者です」「私が犯人だ」はどちらもミステリとして楽しい作品。「≪世界劇場≫の鼓動」は、ある建物の中で演じられる音楽が色や匂い五感を刺激する演奏だったというもの。まず建物にやってくるまでのシチュエーションも気になりそして結末まで非常に好みです。最後の1行まで読んでも多くを説明されていないせいか気になる事ばかりで、大掛かりな作品の一部分を抜き出したような感じ。前後を読みたいという気にさせられるが、やはりそこは想像するしかないのか。ライナーノートを読む限り、週末をイメージして書かれたようです。

そして最後の「不在のお茶会」。気がついたら一緒にテーブルを囲んでいた精神科医と植物学者と作家。なぜ自分がここに居るのか、ここがどこなのかわからないまま3人それぞれ自分の置かれたシチュエーションを推理するというもの。これはどう解釈していいのか想像することすらもできない。きっとこうなんだろうという説さえ浮かばない、難解な作品でした。作品自体は「不思議の国のアリス」を素材に扱ったものだけれど、とにかく解釈に難しい。おそらく「≪世界劇場≫の鼓動」と「不在のお茶会」は読むたびに印象が変わると思うので定期的に読み返すテーマ本になりました。

全体の印象としてシュールな作品が多く、短編スキーにはたまらないかも。しかし、ミステリ部分についてはもう新しい試みとは言えない時代になってしまいました。発表された当時に読んだのならこのミス1位も頷けます。ただ印象的な作品が多かったので短編集としてはかなり好みの一冊。ジョジョの短編が読みたくなります。「いいニュース、悪いニュース」「音のかたち」等の作品は吉野朔美の漫画で読みたい。
2007.04.13 Friday 13:53 | posted by ソラチ
・ 山口雅也 | permalink | comments(0) | trackbacks(1)

生ける屍の死/山口雅也

評価:
山口 雅也
東京創元社
¥ 1,260
(1996-02)
迷作ではない、名作!
臭いがしそう…
ミステリ史に残る異色の傑作

読了までほぼ10日もかかってしまいました。
設定も内容も非常に面白いけれど、なんだかうまく乗れず、時間ばかりかかってしまったような。。

まず、人の名前が覚えられません。
ジョン、ウィリアム、ジェイムズ、ジェイソン、ジェシカ、フレデリック、フランク、イザベラ、モニカ、ヘレン・・・・・どうやって覚えろと?
スマイリーとグリンはさすがに覚えたけれど、ようやく誰が誰だかわかってきたのが終盤のジェイソンとジェイムズの過去がわかったくらいからです。遅っ。なのでもう一度読み返さなければ100%は楽しめない・・。

ある日突然、死んだはずの死者が甦る。ある者は葬式の最中に、ある者は埋葬する最中に。そんな不吉な死者の影はニューイングランドのある葬儀屋一家にも及ぶ。今まさに家長たるスマイリー・バーリイコーンの命が尽きようとしている時、思わぬ殺人、甦りが一家を襲う。そんな感じのストーリーです。死者が甦ったら殺人は無意味なわけで、警察の混乱具合もなかなか際立って書かれているような。小野不由美『屍鬼』とは違い、今回は甦っても体は死んでいて、何もしなければ朽ちてゆく、そんな設定です。死者にとっても悩みが深い。よく出来たパラレルワールドっぷりだと思いました。

主人公のパンク青年グリンは、家長スマイリーの何度目かの遺言宣言で家中が遺産問題に揺れている中、いきなり毒死します。しかし、甦った彼はまさに生ける屍となり、自分が死んだ謎を追い始めます。生き死にに関する哲学的記述が非常に多くて、ゆっくり読めばかなり楽しいと思うのですが、地下鉄やお昼等に数ページずつ読み進めていたので、どうも反芻したり味わう暇がなくいまいち楽しめなかった。しかし、パンクカップルのグリンとチェシャはすごくいい。タランティーノ脚本の大好きな映画「トゥルーロマンス」を彷彿させるようなポップさ。これはホラー色一切ナシで映像化してほしい気もします。できないでしょうけど。

あとがきで法月綸太郎が「新しいトリックは出尽くした、本格派過去の遺物だ、という断言がはびこって久しいこの時代に、アヴァン・ポップな実験的諧謔精神に基づいて、偉大な先人たちですらなしえなかった超ウルトラCの妙技を披露してくれた」と書かれていましたが、本当にその通り。この作品を絶賛する人は多数いますが、どの本格小説とも似ていない山口雅也のオリジナル本格作品でした。キャラクターが覚えられずいまいち掴めずに楽しめなかった分、絶賛するにはもう一度最初から読み返す必要がありますが、パンクカップルに感動してしまった、それだけでミステリというジャンルを除けても面白かった。まじで感動しました。いい!!
2006.11.20 Monday 22:11 | posted by ソラチ
・ 山口雅也 | permalink | comments(2) | trackbacks(0)

13人目の探偵士/山口雅也

評価:
山口 雅也
講談社
---
(2002-07)
デビュー

その昔、友達から借りたパソコンゲーム「キャット・ザ・リパー」そのままでした。一応ゲームブックなのでしょう。ゲームと本のどっちが先に発売されたのかはわかりませんが、その頃は山口雅也という作家も知らず、キッド・ピストルズも知らず、結構面白いゲームだったような記憶はありますが結局クリアしていなかったはず。したとしても覚えていない。。

パラレルワールドのイギリス。そこでは質の下がったヤードよりも探偵が上位に扱われるようになり、探偵士と呼ばれる探偵たちが高い地位を持っている。そんな中、探偵士ばかりを狙ったキャット・ザ・リパーという殺人犯があらわれる。

主人公は記憶喪失で、気がつくと密室の中で他殺体と一緒に倒れている。当然殺人の疑いをかけられるが、救いを求めて3人の探偵士から一人選び事件を解決してゆくというスンポーです。それぞれの探偵の依頼編・解決編のみを読んでも良し。順番に全て読んでも良し。私は順番に全て読みました。

ほとんどゲームの通りでしたが、ゲームの印象よりもキッド・ピストルズが有能で好感が持てました。山口雅也は初めて読みましたが、悪くないです。むしろ結構好きな文章だ。外国が舞台なのに、登場人物の名前も覚えやすく、外国小説でいつも陥る名前が覚えられないという事態にはならなかったのも高評価。同じく最近はじめて読んだ霧舎巧や麻耶雄嵩よりずっと好みだった。パンク刑事とはどうよという当初の迷いも吹っ飛び、このままキッド・ピストルズのシリーズを読みたいかんじ。
2006.06.30 Friday 22:28 | posted by ソラチ
・ 山口雅也 | permalink | comments(0) | trackbacks(1)
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