ながし読み日誌

文庫で読書。最近はハードボイルドに傾倒気味です。。
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2010.04.07 Wednesday | posted by スポンサードリンク
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震度0/横山秀夫

評価:
横山 秀夫
朝日新聞出版
¥ 840
(2008-04-04)
話題になったが…
何を描きたかったのか最後まで解りませんでした
内向きの組織
警察小説にもいろいろありますが、最近・・とは言ってもここ1ヶ月ほど今野敏を集中して読んでいたので、別の警察小説が読みたくなり、まあ安パイの横山秀夫に。作風の違いとか文章の書き方の違いとか色々あるんでしょうが、なんでこんなに面白いのか。横山作品のなかでは「震度0」決してベストではないと思うんですが、他の作家の警察小説読みたくなくなるくらい好みの文体だったり設定だったりするのだ。このごろは作品の良し悪しの多くは文体が占めるんじゃないかと思い始めたくらい、好きな作家、好きとは言い切れない作家の違いは文章にあるんです。高村薫や横山秀夫、津本陽、島田荘司も文体、文章が好きでならない。どんな散文を書かれてもきっと楽しく読めるんじゃないかと思う。読んでいるあいだ中、楽しくて嬉しくてしょうがないんですね。本当に。

とまあ、これまでいまいち乗り切れない読書をしてきた反動のような感じで飛ばして読みました、震度0。ずっとずっと読みたかった作品が文庫落ちしてようやくゲット。阪神大震災の前日、N県警警務課長が姿を消す。失踪か、事件か。人望も厚く敵もいない彼がなぜ消えたのか。キャリア組、叩き上げの警官たち、幹部のそれぞれの事情・思惑が交差し、事件は混迷を極める。真相に行き着くのは誰か・・。

様々な情報や秘密を知る警務課長が消えたことで、幹部たちに激震が走る。この作品の主題は、警務課長が消えた謎よりも、警察内部のパワーゲームです。それぞれがそれぞれの事情で独自に捜査し、情報戦、心理戦が続き、少しずつ彼らの事情、思惑、秘密が読者にもわかってくるような作り。そして辿りつくオチも、とても皮肉なもの。ブラックな作品ですね。誰かひとりくらい真っ白でまっすぐな主人公が居ても良さそうなのに、著者本人が「この小説の主人公は“情報”かもしれない」と仰っているくらい、情報や予断に右往左往する人間模様が描かれた作品でした。ちなみに読了したのは5/18。どれだけレビュー書いてないんだ、自分。

JUGEMテーマ:読書
2008.07.09 Wednesday 14:23 | posted by ソラチ
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真相/横山秀夫

評価:
横山 秀夫
双葉社
¥ 630
(2006-10)
かなり重いです
隱れてゐる「眞實」
横山氏は短編より長編の方が魅力を感じます
久々に横山秀夫!!これまで読んできた警察や新聞記者の作品ではなく、今回はリストラされた男性や、家族を殺害された被害者、暗い過去を持ちながら出所後に必死に生きようとする夫婦など、これまでとは違った目線の作品が収録された短編集。印象も今までとはがらっと違ってどれも重いです。

「真相」:息子を殺害した犯人が逮捕された、しかし犯人の語った内容は、家族にとって信じられないものだった。
「18番ホール」:勝利を約束されたはずの村長選挙。しかし、実際は予想以上に激戦。その背景にはひとつの事件が見え隠れする。
「不眠」:リストラにより職を失った男。深夜の散歩中に見かけた知人はある事件に関わっていた?
「花輪の海」:大学生の頃に体験した壮絶な暴力。その中で亡くなった友人を巡る物語。
「他人の家」:過去の過ちを償って出所した彼に世間は厳しかった。そんな中、手を差し伸べてくれる老人。その手を握るべきか離すべきか。


本当に今回はこれまで私が読んできた横山秀夫作品とは大きく読後感が違うのです。「真相」は、大きな事件に巻き込まれた遺族が、どうやって家族の死や報道の厳しさを乗り越え消化してゆくかを描いたものですが、とにかく痛痛しさ、苦しさは伝わります。そんな中で生きてゆくための目的や術を見つけ消化するのは本当に困難。重いです。

「18番ホール」は、勝利を約束されたはずの選挙なのに、選挙戦では良くない話や中傷ばかり耳に入ってきて焦燥感、苛立ち、友人を疑い、周囲の人間に当たり散らし、選挙というものに対するストレスが激しく表現されていたように思います。ただ、ラストに描かれた“運命の皮肉”とでもいうのか、そういう結末は嫌いじゃないです。例えば嘘の上塗りでどうしようもなくなるような感覚に似ている。ヒトの性を描く面白い作品でした。

「不眠」「花輪の海」は、それぞれの立場に苦しみ、もがき、なんとか光を見出すような作品。生きてゆくには信念が大切なのだなあと。特に「花輪の海」は、そういう選択を迫られるような作品でした。「他人の家」も本当に苦しい中で差し伸べられた手に縋り付きたい、しかしすがり付いてしまっていいのかという迷い、そして選択した先にあらわれた真相の重さ、選択肢がない苦しさ。どうしてこういう話が書けるのか、横山秀夫という作家の幅の広さを改めて思い知った感じです。

これまでの事件とその結果を負うミステリが好きなんですが、今回のような人の内面に切り込むような作品は重いので、頻繁には読めません。ただ、相変わらず、舞台設定や登場人物の新しさは秀逸ですね。次は長編が読みたいかなあ。積読本の長編が「半落ち」と「出口のない海」なのでどちらも重そうでなかなか手がでません。。

JUGEMテーマ:読書
2008.02.27 Wednesday 09:08 | posted by ソラチ
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第三の時効/横山秀夫

評価:
横山 秀夫
集英社
¥ 660
(2006-03-17)
読みやすい
死ぬまで笑わないと誓ってください
この本にレビューなど必要ない。

強盗殺人で逮捕された男、状況証拠と自供だけが頼りの初公判、「落とした」はずの男は罪状認否で急に態度を変え全面否認する。

出だしから緊張感たっぷりの本書。
やっぱり面白い!!と大興奮で読み進めたら短編でした。
確かに面白いけど長編だと思っていたのだよ。
幾分、興奮を削がれつつ読み出したものの、2004年度このミステリーがすごい!第4位の作品だけあって抜群に面白いです。F県警の強行犯係を舞台にしたシリーズ。
やっぱり好きだー!!横山作品。

前述の強盗殺人の話が1話目「沈黙のアリバイ」。考えに考え抜いた取調べでの自白。取調べのテープでは明らかに自白は強要されたものに聞こえる。しかし、強行犯一係班長・朽木にとって犯人の心証はクロだった。そこからどうひっくり返すかを楽しめる第一話。文句なし。

2話目は表題の「第三の時効」、メインは強行犯二係。友人にレイプされ夫をも殺された妻。逃亡中の犯人は女性の元へ時折連絡を入れる。時効を目前に二係は犯人からの連絡を待って被害者宅に張り込む。刑事達と被害者と犯人の緊張感のあるサスペンスです。公安出身で部下との溝がある班長も見どころ。これって現実ではありえないのではというオチでしたが素人目には鮮やかな第三の時効でした。

第3話の「囚人のジレンマ」は、刑事課課長目線で辿る事件。一係、二係、三係のそれぞれ同時に大きなヤマを抱え、どれが最初に犯人逮捕に行き着くか、課長と記者が追いつ追われつ騙し騙されつつ、最後はちょっといい話でオチが着きます。ここでようやく、各係の特徴や魅力が濃く書かれて、シリーズっぽくなってきました。読者としてもヒートアップ。

第4話「密室の抜け穴」は、張り込んでいて逃したはずがない容疑者に逃げられ、責任を問う会議室が舞台一幕劇です。ほぼですが。実はこのスタイル、単発の2時間ドラマで見たことがあり、おぼろげながら傑作だった記憶があるので楽しめました。ドラマのタイトルを忘れたのが非常に残念。メインは満を持して強行犯三係です。容疑者を追い詰めるシーンは、頭がきれる現職刑事の真骨頂みたいな盛り上がりでした。

事件解決後の打ち上げシーンから始まる第5話「ペルソナの微笑」。打ち上げをしているのは一係。落語の出し物で「強行亭一飯」という寄席文字がびっくりでした。横山秀夫、こういう笑いもできるのか。子供を道具に使った毒殺事件の話ですが、その話がとにかく衝撃的。本当に衝撃だった。わくわくして待っていた少年の描写が頭から離れない。同じく道具として使われた過去のある刑事が主人公。ネタもストーリーも本当に面白いがラストシーンだけが非常に不満。ラストシーンだけにネタバレになるので多くは言えないけれど、もっと丁寧にラストーシーンを書いて欲しかった。

最終話は「モノクロームの反転」。一家惨殺事件が発生し、三係をメインに応援で一係も投入される。犬猿の両係。縄張り争い、ネタ争いで、捜査会議はだんまり。壮絶なバトルを両班長目線で書かれる事件。実際には棲み分けがあるんじゃないのかなあと思うのですが、同じ強行犯係なのに壮絶なバトルが繰り広げられます。しかし、作者はどちらかというと一係の朽木班長びいきですかね。単なるキャラクターの違いかな。そんな感じのラストです。

これまで幾つかシリーズらしい横山作品がありましたが、このF県警シリーズは抜群ですね。いや、読んだ直後はどのシリーズに対してもこれが一番だと思っているんですけど。しかし、この強行犯係の面々はもっと読みたい、ずっと読みたい、そんなキャラクター達と作品群でした。
2006.10.06 Friday 19:40 | posted by ソラチ
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顔 FACE/横山秀夫

評価:
横山 秀夫
徳間書店
¥ 620
(2005-04)
男性が女性を主人公に書く難しさ。
男性社会の中での女
まあまあ面白い

意外なことに徳間文庫。
もっと意外なことに文春から出ていた「陰の季節」に登場した婦警が主人公だった。
出版社をまたいでのシリーズものでびっくりでした。
警部ではなく婦警が主人公なのでシリーズというわけではないのかな。
ま、D県警モノは大好きなので嬉しい驚きです。

「陰の季節」に登場した似顔絵を描く婦警さんが主人公。前回の事件で鑑識課から広報、なんでも相談テレホンの相談員、刑事課強行犯係と渡り歩きながらの短編連作です。

1社ばかりが特ダネを抜き警察内での情報提供者探しとなる「魔女狩り」、火災に怯え相談の電話をかける女性を描いた「決別の春」、警察から発表された似顔絵はあまりにも出来すぎだった「疑惑のデッサン」、銀行の防犯訓練中に本当の銀行強盗が発生する「共犯者」、婦警の拳銃を奪われた事件を追う「心の銃口」、以上5話からなる短編集です。

ドラマかなんかで映像化されているらしいですが、映像化したくなるのが頷ける作品です。それぞれの短編の出来や規模、主人公の頑張る婦警が悩み苦しみながらもしっかり前を見据える姿が本当にTVドラマ向きだなあと。主人公は本当に時々推理力が抜群ですが、それでも大きな勘違いや失敗はしてしまう。その辺りがとても横山秀夫らしいです。そういえば横山秀夫は、何かに失敗してしまう人、失敗してしまった人、例えばエリートコースからの落伍者等を書くのが上手いですね。どれも面白い作品でしたが「共犯者」の設定と「疑惑のデッサン」の心模様が特に印象的。

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2006.09.04 Monday 06:55 | posted by ソラチ
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陰の季節/横山秀夫

評価:
横山 秀夫
文藝春秋
¥ 470
(2001-10)
渋い警察小説
リアリティに共感した
やっぱりこの本から

もうたまりません、止まりません、横山秀夫。
ここまで私のストライクゾーン突いてきますか。
まじ好きです、面白い。

横山秀夫を読む時、次こそハズレるかなと不安に思いつつ読んでも、読むたびに期待以上の出来でそろそろ恐くなってきました。なんでこんなにツボな作品書いてくるかな。好みの作品に出会えたという喜びがいつまで続くのかという不安と、絶対ハズレない(今のところ)という経験則がいろいろ複雑。読後の興奮で少々混乱しています。

今回はある県警本部を舞台にした警察モノの短編集。
D県警シリーズ第一弾らしいです。
シリーズか。まだまだ楽しめるというわけだ。
第二弾あるなら今すぐ読みたいよ。
冒頭に登場した二渡警視がその後全ての話に軽く登場。
若くして警視。そして中性的な顔立ちなのに頭がきれる。しかも権限を必要以上に誇張しない。高村薫の合田雄一郎以来の警察モノでヒットですね、個人的にですが。

1話目は、人事担当のエース・二渡警視の物語「陰の季節」。左遷は外からは左遷とわからないよう内からはわかるように等、誰しも納得する絶妙の人事パズルをしなければならない人事担当。そんな時、天下り先のポストに座っている大物OBが任期が来ても辞めないと言って来た。後ろは詰まるしさてどうするか。ポストに固執する理由やその背景にある未解決事件等相まって面白い。頭が禿げそうなくらい気を使う人事担当。内部の不祥事にイライラしながら人事パズルを形成し直す様子は、例えばケーキを作ってオーブンに入れたらボールにメレンゲがそのまま残っていたかのような衝撃。わかりにくい例えだ。つまり最初からやり直しということ。初めて知った職務内容なので、このシリーズはぜひぜひ続けて欲しいところです。

2話目「地の声」は監察官のもとに寄せられたタレコミにまつわる話。昇任の「天の声」に対して「地の声」。タイトルも作品も絶妙。3話目「黒い線」。ひったくり犯の似顔絵を描き、お手柄として新聞にも報じられた婦警が翌日無断欠勤する。上司である婦警が行方不明となった彼女を追う話。女性の警察官をわりと見かけるようになった今はどうなのかなと思いながら読んだ一作。4話目「鞄」。県議会対策担当の警部が主人公。ある議員が議会の一般質問で警察に対して爆弾を用意していると宣言。警察としては爆弾と称された質問内容を事前に把握して対策を取らなければならない。議会が開かれるまであと3日みたいな時間制限ありでしかもオチはかなり予想を上回る展開で。。。

4話とも全く外部の人間には窺い知れない職務内容の警察官が主人公で新鮮。前にも書いたけれど、一般会社員のわたしは警察事情に明るくないので、これら作品群のリアリティを判断できません。それでも楽しめるのだから、これが仮に現実と違ったとしても文句はない。このクオリティを叩きだせる横山秀夫が直木賞決別宣言したのは、直木賞にとってマイナスだ。受賞したら、さぞ直木賞にとってハクがつくだろうに。
2006.08.14 Monday 09:49 | posted by ソラチ
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クライマーズ・ハイ/横山秀夫

評価:
横山 秀夫
文藝春秋
¥ 700
(2006-06)
不器用なサラリーマン必読。
最後に爽やかな感動に包まれる!中年になったら再読します。
葛藤、そして生き様

最近、本が読めない――などと思っていても、いい作品はひとたびページを捲ると止まらないようです。
横山秀夫の『クライマーズ・ハイ』。通勤用と思っていたのに一気に読まされました。ひとこと、最高!!

部下を死なせてしまった過去をもつ地方紙の記者が主人公。役職を拒み、万年遊軍記者として記者人生を全うする。そんな記者人生の中で覚えた登山。同僚である友人と谷川岳の難所に登山を決めていた矢先、未曾有の航空機墜落事故が起きる。全権デスクとして指揮を執ることになった彼の記者人生と、時を経て難所に挑戦する心境を描いた傑作。これは傑作でしょう。

例えば大事故、大事件が起きた時の新聞社・編集部の様子なんて部外者の私には想像もつきません。臨場感、緊張感溢れる描写の真偽も判断できない。それでもそんなことどうでも良いくらい、その場に居合わせた新聞社社員は人間らしく、様々な人間が色濃く書かれていた気がします。著者自身が新聞記者だった、リアリティの裏づけは私のような素人にはそれだけで十分。

事件に関わる人たちに出会い、感動し、その想いを周囲の反対やハイリスクを顧みずに貫き通す。一般的には、一見格好良いけれど賢くはないそんなスタイルも嫌味なく書かれていました。硬派でハードボイルドも悪くないと思えます。ともすればありきたりな結末と思われがちな流れだけれど、悠木和雅というひとりの記者の思いや人間性が本当に伝わってきて、これはこれでいい。

格好いいおじさんといえば、福井晴敏『川の深さは』はうそ臭さがあったなあとか、高村薫は色気や余裕があるなあとか感じますが、横山秀夫の書く中年は嫌味なく受け入れられるから不思議。前も書いたけれど文章の硬さも大好きです。本当に新聞記者出身なのか。新聞記者といえば、かつて私が出会った新聞社の人間は、新聞記者を志すことを一瞬で止めたくなるような人ばかりだったので、こんな主人公みたいな記者いるかよ、みたいな疑心もなくはない。けれど、こうありたい、みたいな記者像としては素敵です。

ここまで幾つか横山秀夫を読んできてどれもパーフェクトに好みなんですけど。ここまで面白いとは、正直まいりました。でもこれミステリじゃないな。今月はミステリフェアやろうと思ってたのに。。
2006.08.04 Friday 00:38 | posted by ソラチ
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動機/横山秀夫

評価:
横山 秀夫
文藝春秋
¥ 570
(2002-11)
クライマーズ・ハイの著者
横山秀夫の世界観を満喫できる一冊
刑事司法の周辺に生きる人々

これはすごい。
推理作家協会賞アタリマエの秀作短編集でした。
だめだ。まじで横山秀夫おもしろい。

まずは1話目「動機」。警察署内で一括管理されるようになった警察手帳。30冊の手帳がある日盗まれる。外部犯人とは思えない犯行。誰が手帳を盗難したのか。その動機は、想像を超えた素晴らしさでした。このタイトルは確かに「動機」だ。この一話目でもうハートを鷲掴みですよ。クオリティ高いです。

2話目の「逆転の夏」。一時の過ちから殺人を犯してしまった男。出所後、真面目に働いていたところに「人を殺して欲しい」との依頼が来る。殺人者は二度でも三度でも人を殺せると思っているのか、と当然憤慨する男だが、その日から彼の銀行口座に決して少なくはない金が振り込まれるようになる。妻への送金と、手をつけてはいけない殺人依頼の金。そんな狭間で揺れる気持ちや、不自然な殺人依頼に疑惑を感じるサスペンス性。どれも読み止らない面白さ。オチは私には全く予想していなかった展開だったので楽しめたが、勘のいい人またはミステリ慣れしている人であれば早くからわかるのかもしれない。しかし、わからないで読んだ方が得ですね。その分、びっくりがあって。

3話目「ネタ元」。地方紙の新聞記者の話です。不思議なネタ元を持つ彼女は全国紙から引き抜きの声がかかる。なぜ私なのか。おいしいネタ元を抱えているからか。そんな彼女がある事件を通して一喜一憂する様を描いたものだが、主人公の年齢が私に近い事と、転職とは、仕事とはみたいに悩む様子に、共感できるところもあってなかなか気になる話でした。女性目線のこういう話も書けるのだな、横山秀夫あなどりがたし。

4話目「密室の人」。実直に勤務してきた裁判官が法廷で居眠りをしてしまいあろうことか妻の名前を寝言で叫んでしまう。もちろん新聞等のメディアに取り上げられる危機と、そんなことありえない、そんな自分が信じられない思いの裁判官。彼の行く末と居眠りの要因に迫るミステリ。自分がありえないミスをしてしまい戸惑い迷う、そんな様がすごく面白い。一般人として、法曹界などまったく無知の私にはとても奇抜で珍しいネタに見えました。「逆転の夏」もそうだけれど、罪やミスを犯してしまう人間の心情が本当に細かく描写されていて、興味深いです。

ここまで、ハマったと思った作家は結構久しぶり。文章もストーリーもめっちゃ好みです。積読本の「クライマーズ・ハイ」が俄然楽しみになってきた。
2006.07.08 Saturday 23:13 | posted by ソラチ
・ 横山秀夫 | permalink | comments(6) | trackbacks(1)

ルパンの消息/横山秀夫

評価:
横山 秀夫
光文社
¥ 920
(2005-05-20)
おもしろいが、リアリティがない
ある意味一番好きかも
「昭和」を感じさせてくれる

この作家の作品を読むのは初めてだが、思いのほか読みやすい。

15年前に起きた飛び降り自殺が実は殺人だった。時効まで24時間。容疑者は「ルパン作戦」のため現場に居た高校生3人。彼らの供述をもとに当時の事件が少しずつ明らかになる。

ストーリーの大半は高校生時代の話だが、すいすい読めました。なぜだ。
真犯人の正体・動機が好みです。
署長が素敵に描かれていて、これはシリーズで読みたくなるような作品でした。
横山秀夫のミステリが他に出ているなら読みたい。
2006.04.29 Saturday 07:42 | posted by ソラチ
・ 横山秀夫 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)
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