ながし読み日誌

文庫で読書。最近はハードボイルドに傾倒気味です。。
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2010.04.07 Wednesday | posted by スポンサードリンク
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水滸伝〈12〉灼乎の章/北方謙三

評価:
北方 謙三
集英社
¥ 630
(2007-09-20)
冷めたオトコも熱くする。
晁蓋の死に。。。
大刀を振るう。
ついにあの大物に官軍―青蓮寺の手が及んだ。水滸伝12巻は廬俊義の話です。官軍側の李富、聞煥章がついに廬俊義に辿り着く。廬俊義を助けるために、燕青と梁山泊全軍が動く。読み始めてから、そして廬俊義が危機に陥ってからはもう目が離せません。いつになくスピード感と男気溢れる展開。もう、いい男ばかりですねえ。前作で巨星が墜ちて気が抜けるかと思ったのに・・くそう、格好良いぜ。

さて、前回の衝撃が冷めやまぬ寂寥感漂う梁山泊から物語は始まる。林沖隊の旗持ちである郁保四の視点は非常に面白い。この作品では林沖は肩の力が抜けたいい男に書かれています。史進と軽く口喧嘩したりとても明るい。物語が林沖にスポットを当てた時にまた彼の闇がクローズアップしてくるのでしょう。それはあまり見たくない。

そして何といっても廬俊義と燕青。必要ないんじゃない?その設定、と思う事もあるのだけれど、そういう不必要な背景、過去でさえ物語に深みをあたえる要素なのだからと思い直して。燕青の今回の行動、働きは胸をうつものでした。彼らの物語でページを捲る速度が増しましたし。逃避行ともいうべき山中での出来事が感動しますね。うなされて口に出しては意味ないんじゃ・・と思ったけれども。湖畔の店で店主とのやり取りがとても素敵でした。照れながら稽古をつけて欲しいなんて、ハードボイルドな一幕じゃないか。

敵側ではなんといっても関勝。今回は廬俊義と並んで注目のひと。魯智深からスカウトを受け続ける彼が、官軍側に試された一幕で取った行動がスバラシイ。眺めの良い森に湖に畑に感嘆し、湖畔の店で饅頭に舌鼓を打ち、さっさと帰ってゆく。とても任務中とは思えないおおらかさ。大物ですねえ。呼延灼とは違ったタイプの大物っぽい。北方水滸伝は、それほど108星という意識を持たないんですが、関勝は間違いなく宿星持ちの大物でしょう。彼がどのように梁山泊入りするのかも楽しみでしたが、それ以上に官軍に居る彼の動きをもう少し楽しみたかった。

官軍側でにわかに気になってきた人物がもうひとり。禁軍の将軍・趙安。頭脳派の李富、聞煥章に遅れを取らない明晰さに、呼延灼クラスの武。これは難敵です。彼がどこまで自分の弱みをさらけ出して行くのか、どうやって勝ち、どうやって負けるのかが今後の楽しみかな。

今回も大きな戦で逝った人がおりました。これまでは、散ってゆく人を、この人誰だっけ?どういう流れで梁山泊入ったんだっけ・・と記憶力の悪さを発揮して楽しみ半減させていたのですが、今回亡くなった人は登場から梁山泊入りまで鮮明に記憶していたとても個性的で素敵なキャラクターで、本当にショックでした。彼が落馬した瞬間にカッと仲間が飛び出したシーンも記憶に残る。彼の死を仲間が悼むシーンがあり、実は彼は○○だったんだ的な話が嫌でした。それを理由に彼の死を納得するのが残念な感じで。ただ気持ちよく散って行ったように見えるのがまた切ない。もしも死に場所に良い悪いがあるなら、軍人としてこれ以上ない死に場所だったのだろう。あまり暗くならずに林沖や史進の軽口も手伝って沈みすぎずに待て次号。やっぱり北方謙三の時代小説は大好きです。

恒例の宿星早見表。

地健星―郁保四―クロン
地傑星―宣贊―ジーン
地正星―裴宣―ジャバ
地蔵星―朱富―レスター
地隠星―楊春―ミーナ

郁保四って宿星あったのか。。。またまた北方オリジナルかと勝手に思っていました。宣贊、朱富の良さが今回は際立っていました。朱富のシーンでは結構心動かされたし。
2007.09.28 Friday 19:49 | posted by ソラチ
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水滸伝〈11〉天地の章/北方謙三

評価:
北方 謙三
集英社
¥ 630
(2007-08-21)
天地動転
燃え上がる恋情
悪いことは言いません。読んでおきましょう。
わけあって1ヶ月遅れのレビュー。というのも買ったばかりの本を並行して読んでいる弟に先に貸したのがマチガイで、既に新刊出てるのにまだ読み終えてないってどういうことよー、と奪い返して読了しました。フン。

さて、今回の舞台は主に双頭山と平原。街をひとつずつ奪っていかなくてはダメだとわかり、まずは双頭山のおひざもと平原から着手というわけですが、まあ、戦争自体は小競り合いに毛の生えた程度。しかしその背景で、決戦をいつにするかという考え方で晁蓋と宋江が決定的に対立し、梁山泊が大きくなればなるほどその対立が深刻さを増してくる。これまで反政府だったり苦しんでいる民草を助けるために、義を掲げてひとつひとつ山を登っていたところが、国崩しという目標が現実味を帯びてきたところで、ゆっくりゆっくり山を下り始めたような感じ。そういえば原作水滸伝は滅びの美学を書いたものだったような気がする・・。今までの快進撃がそれを忘れさせたが、そろそろ折り返し地点が過ぎたということか。それを感じさせるような11巻目でした。ああ。

小さなところでは、杜興の苦悩がとても良い。李応と一緒に梁山泊入りし、いつまでも李応の副官でいたい。しかしなぜか遊撃隊・九紋竜史進の副官にされる。それが気に入らない。武に長けている訳でもなく、自分ができることもやるべきことも見つからない。そんな彼の真剣な苦悩と裏腹に彼の周囲がどんどん好転してゆく様が面白い。兵を全力で罵って苛めているのになぜ慕われるのか。投げやりな気持ちで死んでしまいたいとすら思っているのになぜ。そんな二律背反が素敵なのです。

そしていつもどおり苛ついたのが扈三娘。あれを作者はどうしたいのか。なぜあんなに足手まといに感じられるのか。まだまだ成長過程だからなのかなあ。このまま苛つくキャラで終わって欲しくないです。

さらに、ずっと気になっていた数巻前に張られた伏線がようやく目を出してきました。殺るのか殺られるのか、それとも心が傾くか。登場から最後まで目が離せない。そこで大きく輝いた張青。誰だろうとずっと思いながら読んでいたんですが、前回登場して気になっていた彼じゃないか。前作の内容すらスパッと忘れているこのアタマが恨めしい。ただ、彼のその後が気になってしょうがないんだけど、次の12巻はもう買ってあるのであとは開くだけです。大きな衝撃が最後に待っていただけに次は覚悟して読まなければ。

で、今更必要性を感じなくなってきたけどまあいいや。恒例の宿星早見表。

地然星―樊瑞―クロウリー
地全星―杜興―オニール
地楽星―楽和―カシオス
天地星―晁蓋―該当ナシ

天地星なんて宿星ないなあと思っていたんですが、北方オリジナルでしょうか。まあ、あえて108星にあげるなら天魁星なんでしょうが。そして、あれほど心が動いた杜興、オニールおばさんかよ。。とショックを受けました。マチガイかもしれないこの企画。そもそもは「ビクトールの宿星って原作では誰なんだろう」みたいなミーハーな発想から始まったのになあ。。。
2007.09.25 Tuesday 11:18 | posted by ソラチ
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水滸伝〈10〉濁流の章/北方謙三

評価:
北方 謙三
集英社
¥ 630
(2007-07-20)
呼延灼軍との激突!
もう半分?
今からでも遅くない
一度だけでいいから官軍に勝利を、という命令を受けて梁山泊軍に向かう事になった代州軍、呼延灼。従うは代州軍1万と呼延灼を慕う民兵・韓滔と彭キ。そして手柄を掻っ攫うためについてきた高キュウ(漢字が・・)の禁軍1万。最強の敵・呼延灼に対して梁山泊はどう戦うのか。むしろどう負けるのか。

ついに来ました、呼延灼戦。多大な被害は必然。さて、どう書かれるのか楽しみでならない待ちに待った呼延灼です。原作から非現実的な要素を排除した北方水滸伝では、原作とは違った要素が多いので、モチベーションを落とさずに梁山泊軍がどう負けるのか、そこが一番のポイントです。

呼延灼軍と見せ場を作りたい砲撃馬鹿の凌振、そして軍師として参加した韓滔と彭キ。梁山泊と戦う事になる前から戦後までこの一冊にじっくり書かれていて、今作・第十巻は既刊に比べて厚い。しかし、一冊まるまる呼延灼戦なので、一気に読めて良い作りになっています。途中で「待て次号」となっては待ちきれないしテンションもガタ落ちでしょう。

実際に軍がぶつかり合うのは中盤くらいからで、それまでは呼延灼が出陣する事になる経緯から行軍・布陣・にらみ合いまで。水滸伝で描かれる戦いの中でまず一番に名前があがってくる呼延灼。嫌でも期待は高まるというもの。そして中盤からはいよいよ1万の軍同士がぶつかり合う大きな戦です。

一度だけの勝利をという命令なので、呼延灼がとった策は衝撃的。あっという間の決着でむしろそこからの壊走こそ手に汗握りました。しかし、欲を言うなら、韓滔と彭キ、そして彼らに当たっていた林沖隊、史進隊の戦いをもっともっと細かく書いて欲しかった。実は、昔ネットで読んだ幻想水滸伝のパロディ小説で、戦争を描いた作品があったのですが、それがあまりにも秀逸で、書かれた方はプロなのかわからないけれど、ネット上では幻水ファンの方で、あの小説を思い出しながら読みました。軍と軍がぶつかり合う戦闘シーンを描いたものでは、いまだにあのパロディ小説を上回る描写をわたしは知りません。それくら大好きで面白かったので、実は今回の呼延灼戦はちょっと残念だったりします。楽しみにしていた部分を端折られた感じ。決戦のスピード感は伝わりましたけれど。呼延灼戦は被害甚大だったものの、祝家荘や宋江が水上砦に追い詰められた時の方が戦闘部分に関しては面白かったかもしれない。あっけなくて物足りなくて残念。ただ、その後に高キュウが取ってきた行動は先が読めても面白いし嬉しい展開。

そういえば、本家水滸伝を知っている弟に「呼延灼戦で彭キが面白い事になるよ」と言われていて楽しみにしていたんですが、その面白い描写はどうやら端折られたか省かれたらしい。面白い展開ってなんなんだ。気になる。。韓滔の走れメロス的な話もちょっと面白かったんですが、それとは違うんだろうなあ。

呼延灼戦で亡くなった人々も多数で、特に兄弟の弟についてはかなりつらい。そして舟を守って亡くなった彼もたまらなく切ない。ただ、亡くなった人々の名前を見ても、どんな人だっけと思う名前もあって、さすがに大勢の人間が居るのでそろそろ主要人物以外のキャラクターがわからなくなってきました。戦死者が出ても思い入れが薄いと楽しめなくなりそうで、自分用に北方水滸伝人物録を作りたくなってきた。つくろうかな。そういえば文庫版では表紙を捲ってタイトルの次のページに、ひとつのイラストとひとりの名前が載っていますが、今回はさすがに呼延灼でした。呼延灼に始まり呼延灼で終わる一冊。まあ、満足。

そして恒例の宿星早見表。

地威星―韓滔―マクシミリアン
地軸星―凌振―モース
天祐星―徐寧―カミーユ
地英星―彭キ―サンチョ
地刑星―張青―ゼン

張青はかなりダメな感じのキャラでした。凌振もある意味ダメなキャラなんだけれど、飽くことなき追究心は好ましい。
2007.07.31 Tuesday 12:46 | posted by ソラチ
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水滸伝〈9〉嵐翠の章/北方謙三

評価:
北方 謙三
集英社
¥ 630
(2007-06-28)
林冲は死なず! 柴進らは危機一髪!
替天行道は、想像の彼方に
扈三娘ファンも注目
1ヶ月ずつの発売で読むまでに間があくと、誰が誰だかわからなくなりますね。これまでに壮大なドラマがそれぞれあったはずなのに・・。水滸伝は一気読みするべきだと、本気で思いました。まあ、とりあえず文庫版の最新刊。

死んだはずの妻が生きていた・・そんな情報に踊らされて、梁山泊にとって大切な戦い・祝家荘戦の最中にひとり居なくなった林沖。罠以外の何者でもないと誰もが理解っているのにわざわざ死にに行く様は痛痛しく、こういうハードボイルドはカッコ良くない。今回の帯のコピーは「女ひとり救えなくて、なんの志か。なんの夢か」確かにその通りかもしれないけれど、これはあからさまに罠だろう。もっと落ち着いて情報収集しろよ、みたいな。なかなか梁山泊入りせずに何度もピンチに陥り同士の命を危険にさらした宋江もイラっとしましたけど、今回の林沖もかなりイラっとしました。林沖の騎馬隊が味方の危機を救うシーンはこれまでどれだけテンション上がったことか。それだけにあまりに危うい林沖がなんとか心の平静を保って欲しいと願わずにはいられない。

梁山泊としては南にも大きな拠点が必要であり、不必要に狙われないために周到な準備を重ねて流花塞が作られる。その要塞の真の意味を悟りついに禁軍の一部隊が登場。全面対決かと思いきや、それは政府側の囮だった。このあたりがとても面白い。しかし、廬俊義と柴進がピンチに陥る。廬俊義はなんだかキャラが変わったような・・。そして一粒の銀も一粒の塩も無駄にしたくないと頑張る柴進がまた、頑張りすぎてピンチに。その救出激は今回の一番の山場でした。泣ける。

その他には、小さな話で魅力的な箇所が。まず、秦明将軍の純情なラブ・ストーリーが新鮮です。好きです、こういうちょっとイラっとくるラブ・ストーリー。そして林沖を助けて悪態をついた後に、席をはずしてひとり嗚咽する安道全。こういうのがたまらない。ますます林沖がキライになりました。林沖は失ってから出なければ周囲の人間の大切さ、情がわからないタイプだ。まったく尽くし甲斐がない。林沖と同じタイプと思えるじゃじゃ馬・・というよりむしろ暴れ馬の扈三娘。あれは、これからどう使われていくんだろうな。なんとかうまく書かれてゆけば良いと思うのですけど、今のところ武一辺倒で可愛げがない・・。さて、いよいよ次回以降の話として呼延灼戦がやってきます。これ、確か水滸伝で有名な、梁山泊が大負けする戦なんですよね。ああ、たくさん人が亡くなるんでしょう。そろそろハラに力を入れて読まねばつらくなってきた。。

最後に私のための宿星早見表

天空星―索超―クロイツ
地佐星―呂方―メロディ
地微星―王英―フッチ
地走星―李袞―セルゲイ
地暗星―楊林―モーガン
2007.07.04 Wednesday 10:30 | posted by ソラチ
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水滸伝〈8〉青龍の章/北方謙三

評価:
北方 謙三
集英社
¥ 630
(2007-05-18)
祝家荘を撃破!
多少違和感が
目をはなせない青龍。
ああもう発売に追いついてしまいました。これからは発売日と読みたい欲求の狭間で苦しむことになるのです。文庫版北方水滸伝第八巻、最新刊です。

予想通り今回は祝家荘、李家荘、扈家荘からなる独竜岡と梁山泊の全面対決です。官軍によって綿密に練られ張られた罠。二竜山、双頭山、梁山泊の中間に位置し、梁山泊の目と鼻の先に仕組まれた偽りの荘。今回は今までのような救出戦だったり防衛戦だったりではなくはじめて、攻めの戦です。官軍には負ける要素がない。あるとすれば内から崩れる、それのみ。なにしろこの戦、この罠の指揮には官軍きってのキレ者が二人、鬼気迫る情を持って挑んでいるのです。二竜山、梁山泊のどちらかが落ちる可能性が高い総力戦。梁山泊にとってはじめての大きな戦いではじめての危機なのでしょう。

前半は祝家荘の内部メインに話が進みます。内輪での火種のひとつ。解珍・解宝父子です。この父子が素敵なのだ。たとえ梁山泊の存在がなかったとしてもいつか彼らは立ち上がったんだろうなと眩しく見える男どもでした。そして中盤は二竜山。常に官軍に攻められ続ける二竜山の悲喜こもごも。あまりにも惜しい人物が急逝するのでこの辺はあまり思い出したくない。

後半は独竜岡と梁山泊の戦いです。戦争です。完璧な防御、完璧な罠で梁山泊軍を迎える独竜岡。そこをあの手この手で崩す梁山泊の苦しい戦い。ここでは想像以上に沢山の命が散りました。しかも事後報告のように数行でその死が済まされてしまったり、もっと酷いのはこの人だれだっけ、、と一瞬間考えてしまう自分。しっかり振り返るとあんなにも心が動かされたキャラクターなのに、なにしろ登場人物が多いものだから早くも忘れかけている。前の巻をチラ見してああと思い出しそして切なくなるのです。それくらい多くの命が散りました。特に厳しかったのは独竜岡戦ではなく二竜山の緒戦で散った彼でしょう。ずっとずっと苦しい仕事を担ってきた彼がようやく表立って戦える喜びを感じた、そんな時だったのに。しずかにダメージと涙がじわじわと寄ってきます。また、最初に亡くなった石勇の名もない部下4名。彼らの死が実は結構な衝撃でした。小説上では名前のない大勢の犠牲が痛みとして読者に伝わってくる、、凄い作家ですね、北方謙三。

今回一番気になったのが林沖。彼はどうしたんだ。風のように敵軍を翻弄する素晴らしい見せ場が幾つも用意されているのに、自分を見失いありえない決断をする彼に苛立ちました。同じような危うさを抱えていた史進は王進のもとで人として生き返って戻ってきた。林沖も王進の東屋で下働きが必要です。彼には決定的に足りない感情がある。落ち着いて考えれば敵の罠でしかありえないのにむざむざ引っかかりに向かったのでしょう。冷静さ、自分を正面から見つめられない弱さが最悪な状況であらわになった林沖。次回は林沖を巡る陰謀の話なのだろう。このまま危ういまま死んでいくには惜しい。彼の目を覚まさせるのは誰なのか、宋江の死くらいでなければ目が覚めない気がするが、多少苛つきつつ彼の今後を見守りたいです。

幻水と本家の宿星早見表

天暴星―解珍―バルカス
地異星―鄭天寿―ミリア
天富星―李応―クン・トー
地悪星―焦挺―ロニー・ベル
地勇星―孫立―イワノフ
2007.05.25 Friday 23:20 | posted by ソラチ
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水滸伝〈7〉烈火の章/北方謙三

評価:
北方 謙三
集英社
¥ 630
(2007-04-20)
宋江またしても危機一髪!
烈火ほとばしる激突前夜
相変わらず圧倒!
「俺は、まだ立っている。
男は、決して倒れたりはしないのだ」

帯の紹介文です。もう、どうしましょう。5巻以降、次々に散ってゆく宿星たち。そしてその最期がまた泣けるのだ。わずか5名で山の洞窟に逃げ込んだ宋江たち。それを何万の敵軍が囲む。情報は寸断され絶体絶命。そんな状態で終わった前作。さて今回はその状況を打破するような援軍が到着するところから始まります。

援軍は朱仝と雷横。奇しくも宋江の逃走時に一緒に逃げた二人がまたも宋江救出にやってくる。そして林沖!!! またしても林沖。宋江を救出し、大原府から一番近い双頭山へ向かう一行。そして追っ手を抑えるためにひとり残る雷横。ここは泣けます。後で雷横の男っぷりに敵側が感嘆したという記述があるんですが、今作はもう雷横に尽きますね。返す返す、宋江が旅などしなければ、、、梁山泊のお荷物め・・みたいに思えてしまいますよ。宋江が居なければ梁山泊はなく、志という言葉にも温度がなかったのでしょうが、彼が窮地に陥る度に無駄な犠牲がと思うわけです。大将ってそういうものなのでしょうけど、こう続くとつらいものがある。

さすがに宋江も梁山泊入りし、物語の舞台は西に孤立する少華山。そこでは青蓮寺の企みにより了義山の砦に偽りの梁山泊の旗が掲げられた。九紋竜史進の決断。そして朱武、陳達、陽春、阮小五の戦い。またひとつ大きな星が散ります。これは戦なのだと作中で何度も思い知らされる。彼はまだ死んで欲しくなかった、そんな喪失感ばかりが募る中盤でした。

敵側の動きも活発で、荘軍と呼ばれる罠が作られる。その中にやっと出てきた一丈青扈三娘。これは水滸伝を知らない私でも聞き覚えのある宿星ではないか。扈三娘と呼延灼が気になってしょうがなかったが、扈三娘からか。さらに、北のエリアでは魯智深により関勝の心に志の火が灯される。章タイトルの天勇星が気になりました。かなり大きな役割を果たす人物とみた。まだ官軍にはいるが、彼の目が梁山泊に向くときが楽しみです。呼延灼はかなりの犠牲を伴うチームインらしいので読むのが恐いのですが、まだ先なんだろうな。とりあえず次は扈三娘かな。関勝かな。

最後はチーム間諜。北方先生オリジナルの致死軍とは役割を全く別にするスパイ集団です。ボスは度々名前が登場した時遷。初期メンバーかと思われるくらい古くからのメンバーのようですが、彼目線の話は初めて。しかも、死を覚悟するようなピンチに陥り、公孫勝からは「死相が出ている」と予言される。さらに、人生を回想したり愛弟子との会話、一緒に過ごす時間などが描かれるともう死相どころの話ではない。しかも彼が追っているのは青蓮寺の核心。待ち受ける逆らいがたい運命に震えながら、馬桂に近づく彼を、読者は見守るしか出来ないのです。ああ歯がゆい。そして切ない。

さて、次回はきっと荘軍の話なんでしょう。しかしこの読後感は堪らないですね。そういえば武松死ななかった。。。前回散々気を揉んだのに。代わりに多くの惜しい人たちが亡くなりました。そういえば最後に魯智深が向かった先は西。会いたい人がいるとの事。呼延灼か、呼延灼なのか!! いやしかし彼がいるのは北か?もう気ばかりがせいて月1冊の文庫発売は絶対に待てねえ。既刊の文庫8作目を読んだらしばらく耐久戦ですね。もう。

今回の宿星早見表。

地伏星―施恩―アップル
地理星―陶宗旺―カマンドール
地周星―陳達―ヘリオン
天勇星―関勝―ハンフリー
地賊星―時遷―クリン

着目すべきは天勇星。ハンフリーの宿星という事は関勝は大物なんだろう。そして時遷。彼がクリンですか。確かにクリンは何で?みたいなポイントで登場したりしたけど、キャラクターが違う分ちょっと・・。
2007.05.24 Thursday 18:23 | posted by ソラチ
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水滸伝〈6〉風塵の章/北方謙三

評価:
北方 謙三
集英社
¥ 630
(2007-03-20)
秦明将軍が梁山泊に!
危機風塵
はや、6巻
宋江の旅路にお供が増える様子が書かれつつ、第6巻前半のメインは秦明将軍の梁山泊入りでしょう。前巻まで、霹靂火と呼ばれる彼をどう心変わりさせるかという難題を幾度も挙げられてきたのですが、案外あっさりで拍子抜けでした。しかし、秦明将軍の人となりはすごく魅力的に描かれていて清風山を含めた3つの山の今後が楽しみです。

前半の清風山防衛戦は秦明将軍の見せ場と共にそれなりに盛り上がりましたが、後半は次に来るであろう大きな戦いのための準備段階のようで、敵側に物凄いブレーンがついただとか、北の双頭山の色々が細かく書かれてるわけです。そしてついに宋江の居所が敵側に知れ、山中で囲まれる。もう、絶対次の巻で武松死ぬだろう。本人が死期覚ってますもん。石段のトラップにしてもひとつを取ればすべて崩れるスンポー。しかし、取った人もさようならみたいな不完全なトラップ作るなよと演出準備が着々と進む様子に焦燥感ばかりが募ります。このトラップ命がけで崩すの武松だろう。絶対武松だろう。もうしばらく人死には見たくない。ここまでお膳立てされた彼の最後が見たくないです。そうはいいつつも7巻もう買ったんですけど。彼が生きているという万が一の可能性くらい残ってないかなあ。

宋江が大変な事になっている中、戴宗は飛脚をスカウトして双頭山に走らせます。戴宗かなりおいしい役です。そしてにわかに出陣準備にかかる双頭山。理由やその伝言の内容は書かれていないが、その出陣は宋江に関係あるのか、それとももっと別の大きな戦いなのか。やっぱり続巻をすぐ読みたいですね。

最後に私のための星見表。

地闊星―欧鵬―ローレライ
地文星―簫譲―テスラ
地狗星―段景住―チャンドラー
天猛星―秦明―クワンダ・ロスマン
地劣星―王定六―サンスケ
2007.05.17 Thursday 08:04 | posted by ソラチ
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水滸伝〈5〉玄武の章/北方謙三

評価:
北方 謙三
集英社
¥ 630
(2007-02-20)
壮絶な楊志の死
恐るべき筆力
読んではいけない・・・
ああもうついにこの時が来てしまいました。6巻の裏表紙の紹介文で知ってはいたけれど、早すぎるよう。もう本当に泣きそうになりました。ついに英雄のひとりが逝ってしまわれた。しかも壮絶な最期です。演出過多などとはいうまい。もとより小説なのだし。読んでいる時よりも読了後に本を閉じたあとに涙が溢れてくるような。激しいまでの喪失感です。ああ。沢山の良い男たちが亡くなる話だとは知っていたけれど、一人目でこの衝撃。最後まで読めるのか、わたし。

この第5巻は大きく3つにパートがわかれていて2:1:2のような割合。まずは最初のパート。水上の砦に逃げ込んだが2万の官軍に囲まれてしまった宋江。李俊、穆弘、そして梁山泊が宋江救出に向かう。初めて大きな部隊がぶつかる戦いです。李俊、穆弘のはじめて死を覚悟するような戦い、そして童威と童猛の決死隊が最大のピンチを迎えた時に突如現れた林沖!!! もう林沖は水滸伝のスターですね。何度も言うけれど本当に三国志の趙雲のようだ。あっという間に官軍を蹴散らし戦いは収束する。必死に頑張って耐えてきた李俊、穆弘が哀れにすらなります。しかし、本当に胸躍る戦いの描き方でした。面白い。

真ん中パートは絶えず気になっていた魯智深。マジですかという大変な目にあっていてそこから逃れる話でしたが、ずっと船の上で死ぬと思っていたが、生きていて良かった。北へ行ったけれども結局女真族と結ぶこともできずに、彼の判断は間違っていたのではないかという戸惑いもあったのだけれど、これは飛の見せ場を描かれた場面だと思えばまあ納得がゆく。それにしても林沖。働き者です。

最後はもう涙が止まらない衝撃的な戦い。政府側がかねてより潰そうと考えていた青州二竜山と桃花山。その大隊長の暗殺。そして苛烈な山砦攻めが始まる。彼の最期があまりにも壮絶で涙を誘います。なんでこんないい男がこんな序盤で死ななければならないのか、そんな切なくしかし格好いい最期でした。そしてさらに衝撃は砦攻め。ボスを失った軍をなんとかまとめて砦を守り抜く石秀と周通。彼らの急すぎる最後も衝撃的。石秀なんて死ぬとは思っていなかったので本当に驚きでした。梁山泊が各地で小さな梁山泊を作り互いに蜂起するまでまだ間があるそんな時期に志が折れそうな英雄の死。後を任された林沖がこれからどうなるのか、梁山泊がどうなるのか、大きな喪失感と不安につつまれたまま第5巻終幕。次が気になってもう止まりません。

恒例の自分のためのメモ。

地進星―童威―ケスラー
地闘星―飛―ブラックマン
地会星―蒋敬―エスメラルダ
地空星―周通―ロッテ

最後の章は周通でしたか。彼の最後が書かれなかったのが切ない。
2007.05.16 Wednesday 00:16 | posted by ソラチ
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水滸伝〈4〉道蛇の章/北方謙三

評価:
北方 謙三
集英社
¥ 630
(2007-01-19)
解説の池上冬樹は文壇から今すぐ消え去れ。
志を広めるために
手に汗握る面白い大河小説です
文庫既刊7巻まで既に購入済ですが、はずみで6巻の裏表紙にある紹介文を読んでしまって、○○が亡くなったという記載があり衝撃です。早っ。確かに水滸伝は人がバタバタ亡くなる話とは聞いていましたが、こんなに早くメインメンバーのひとりが亡くなるとは。今回読んだ4巻ではまだ健在なので、読んでしまった自分がくやしい。たまたま手に取っただけなのに・・・。シリーズ本を積んでおいた為の悲劇です。くそー。

帯で書かれていた「宋江、民の痛みを知るため、苛烈な旅に出る」の通り、第4巻は宋江が旅の途中で出会う人々と、敵側の水面下での動きがメインでした。それほど劇的な何かが起きるわけではないのですが、動きの面では梁山泊やや劣勢です。宋江は思ったよりも複雑な人格のようで、必ずしも真っ直ぐ志のみを見つめているわけではなく、内面に抱える脆い部分があり、そういうところが今回主に書かれていたような。“民の痛み”という言葉を聞くと三国志の劉備を思い出しますが、今のところはそれに近いイメージでいいのかな。

今回の目玉はなんといっても戴宗。水滸伝で有名な戴宗ですよ!! 第1巻からずっと名前だけは登場していた戴宗ですが、ようやく登場。豪傑というような印象ではなく地道に自分のやるべきことをやっている感じ。賊徒あがりという設定のようですが、特にそんな感じもなく、気になる存在です。後半でようやく登場したのでまだ彼の重要性が発揮されてはいないんですが、神行法の見せ場があるのか。また、鉄と語る湯隆もかなり魅力的なキャラ。悩み深い晁蓋を癒す鍛冶場。見逃せません。そして物語は、敵の目がついに戴宗に向き、宋江包囲網、梁山泊に対する包囲網が出来上がりつつあり、敵の策が爆発しそうなところで待て次号。やっぱり物語りは最初と最後が肝心です。特にシリーズものは直後に次巻を手に取りたくなるようなそんな終わり方がベストですね!!

水滸伝に詳しい弟によると、水滸伝とは中国版ファンタジーで剣と魔法の物語なんだ、とか。魔法?カケラも登場してない。そういえば北方先生は魔法等という非現実的なものは書くとは思えない。水滸伝を手っ取り早く知るために手に取った北方水滸伝ですが、元々伝わっている水滸伝とはかなり違うみたい。創作に本当も嘘もないですし、そもそも水滸伝自体も創作なのだし、北方版水滸伝は面白いのでまあいいや。

最後に私のための星見表。

天退星―雷横―パーン
地鎮星―穆春―ヴァンサン・ド・ブール
地孤星―湯隆―メース
天寿星―李俊―ソニア・シューレン
天殺星―李逵―フー・スー・ルー
天速星―戴宗―スタリオン

本家水滸伝を知らないのでなんともいえないのだけれど、ソニア・シューレンは違うのでは。。敵側のめっちゃ強い軍人で最後に寝返るそんな人じゃないのかなあ。まあ、幻水の宿星は全てが水滸伝に沿っているわけではないし、最後まで読めばソニア・シューレンが李俊のポジションである意味があるのかないのかわかるのだろう。
2007.05.15 Tuesday 12:44 | posted by ソラチ
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水滸伝〈3〉輪舞の章/北方謙三

評価:
北方 謙三
集英社
¥ 630
(2006-12)
点から線そして面に
調べたことを描かない
精力的に読書です。とはいっても積読本は5巻までだし文庫最新刊は6巻のようなので、今後は西尾維新の大河ノベルと共に毎月1冊ずつしか読めないのだ。いっそハードカバーで揃えれば良かったです。

さて、水滸伝第三話は宋江出奔まで。前半は楊志や曹正、史進、武松などがメイン。主に梁山泊の外で少しずつ力を蓄え始める様子が忍耐強く書かれています。途中、政府側の様子が書かれたり、楊志や史進、武松等の内面に迫るようなシーンもあり、大切なものができてしまうと、物語的にはきっとこの幸せは失われるのだろうな、と悲劇の種が撒かれてゆくような切ない気分になります。

そして後半はついに宋江。彼の身に起きたことはきっと予想していなかった事だろうし、彼の心情が招いた結果でもある。そんな宋江という人間がどうしても北方三国志で登場した劉備に近い印象がある。人に慕われ明らかに頂点に立つ人間なのに、ふとした事で駄目な部分があるように書かれている。例えば大切にしていた妾に辛くあたったり苛ついたり。聖人君子でもないのだからそんな事もあるでしょうが、大事を成すこの時期にそれはだめだろう、みたいな致命的な部分を抱えている。人間っぽくていいのでしょうが、それまで北方水滸伝に描かれていた宋江というキャラクターとはまるで違った人間のようで、多少混乱しました。次回作以降を読めばわかるのでしょうが。

というわけで最後に自分のための覚書。

 地稽星―曹正―メグ
 天慧星―石秀―テンガアール
 天機星―呉用―マッシュ・シルバーバーグ
 地俊星―宋清―ジュッポ
 地魁星―朱武―レオン・シルバーバーグ
 地好星―孔明―フウマ
 天満星―朱仝―クレオ
2007.04.04 Wednesday 20:56 | posted by ソラチ
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